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変形性関節症の治療・環境改善と愛犬の管理

愛犬にはいつまでも自立して歩いてもらうことを目標に、ロコモティブシンドロームの予防についておはなししています。変形性関節症はロコモティブシンドロームへの最も広い入り口です。変形性関節症には総合的な治療が効果的です。使われる治療薬やサプリメントについて紹介しました。

今日は生活環境の改善と運動療法について具体的にお話しを進めていきます。この二つは、関節症になる前の段階でも大変有用で、関節症そのものの予防にもなります。また、この治療がうまくいくと鎮痛薬を減量から休薬に持って行くことができます。

 

<5・生活環境の改善>

関節炎を起こしているときには生活改善が重要な役割を果たしています。

関節に繰り返し無理をさせ続けると関節は傷つき状態は改善しません。家庭内の生活環境を改造して、関節に問題を起こしている障害物に取り組んでください。犬の不快感は大幅に減少し、病期の進行は遅くなります。

    滑らない床にするためにカーペットを敷いてください。

    お気に入りの場所に無理せずたどり着けるようにするためのスロープを設置してください。スロープにもカーペット生地を貼り付け滑らないようにしてください。

    危険な段差を回避するために、階段の昇降部分に防護柵を設置してください。

    無理せずかがめるように食器を犬用のテーブルの上に置いてください。

    生活に必要な場所へのアクセスを楽にするため近くに集中させて(ワンルーム化)ください。

    車に乗せるとき、玄関への昇降口にもスロープを利用してください。板の上に滑りにくい加工(人工芝を貼り付けるなど)を施してください。

    犬が横になるベッドは、介護用マットレスを使用して体重負荷が全体に拡散するようにしてください。犬よりも大きい広さで、乗るときに負担がかからないような低いベッドにしてください。介護用マットレスは低反発で関節疾患を持つ犬に好適です。

    ほとんどの場合階段を上り下りさせることはやめてもらっていますが、どうしても階段を利用しないとリビングルームにいけない構造になっているご家庭では、犬を抱いて移動してください。中型犬~大型犬の場合は、階段の一段ずつに滑り止めのマットを敷いてください。

総合すると、犬が動きやすい環境作りをお願いします。

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生活改善はこんな風に。 

 <6・避けていただきたい生活>

    過度の運動は避けてください。運動量が増えると関節は悲鳴を上げることになります。ことに週末に「だいぶ良くなってきたぞ」と走らせるのはいけません。

    平らではない地面のところを散歩させることは避けてください。アップダウンのある道、表面がでこぼこしたところは関節に負担がかかります。表面が平らで平坦な道を選んでください。当日は喜んで散歩のお供をしても翌日うなだれてしまうことがあります。

    寒い環境に犬を置かないでください。冬季は常に暖かい場所に置いてあげてください。動物用の電気マットは大変有用です。

    散歩やシャンプーの後など、身体を濡れたままにしないでください。乾くときに体温を奪っていきます。雨の日の散歩の後は足を十分に乾かしてください。

    硬い床にそのまま寝かせないでください。ごつごつした関節部分に体重負荷がかかります。必ずマットレスの上で休めるようにしてあげてください。「犬がこちらを選ぶから」というのであれば、どうしたらマットレスへ誘導できるのかを考えてください。

    ネットに出回っている様々な商品に飛びつかないようにしてください。言葉巧みに購買を誘っている商品もありますが、獣医学的なエビデンスが全くないものもあります。気になるサプリメントや犬用のグッズについてはご購入前にご相談ください。必要なもの、あれば便利なものについてもお知らせします。選ぶのであれば効能が証明されているものをご購入いただきたいです。

 

<7・愛犬自体の管理>

    爪は短く切り、パットの間の毛もバリカンで刈りましょう。滑りにくく歩きやすいようにします。

    外出用に裏が硬質のゴムになっている犬用の靴があります。比喩統制を感じた場合にご紹介しています。

    屋内で過ごす犬用にゴム性の靴下があります。

    爪に付けるタイプの滑り止め用具もあります。

    手根関節や足根関節をヴェトラップなどで固定することにより歩行がうまくいくようになる犬もいます。サポーターのような役割をします。毎回サポーターを巻くのが大変な場合、義肢義足のメーカーさんから優れたものが開発されています。必要だと判断した場合にご紹介しています。既製品もありますがオーダーメイドですとさらに効果的です。
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リハビリの例。 

<8・理学療法>

疼痛緩和の基礎的な治療に物理的なリハビリテーションを組み合わせると、さらに痛みを抑え、筋肉の健康を改善するのに役立ちます。リハビリテーションにより、鎮痛薬を減量することができます。

リハビリテーションは、急速に成長している専門分野です。変形性関節症でのリハビリテーションの目的は、機能を回復させること、運動性を改善すること、痛みを和らげることです。できるだけ家庭で続けられる運動療法であることが望まれます。私たちのリハビリテーションと同じで、上手な理学療法士さんの指導の下で実施すると身体は楽になりどんどん動けるようになって楽しいものです。ご家族にもぜひプロ的なテクニックを習得していただきたいと思います。

<9・家庭でできるリハビリテーション>

    痛みの出ている部分を温めてマッサージします。血流を良くし、リンパ潅流も良くします。身体の末端部分から心臓に近いところへ「うっ滞している血液を戻そう」というイメージで実施してもらうのがコツです。

    関節の曲げ伸ばしをします。無理なく骨を動かすと他動的でも筋肉は伸び縮みしますので運動になります。

    非常に痛みが強くて動けない場合を除いて、平らなところであれば散歩に出てください。痛かった場合も、痛みを管理しゆったりとした歩行運動(リーシュウォークといいます)は再開して行きます。1回の散歩時間は短く、1日に数回動くことをお願いしています。可能であれば総合運動時間が30分から1時間くらいになるようにしていただきたいです。

    マットのようなふわふわしたところを歩かせるのは負荷運動になります。これにより筋肉強化ができます。

    「座れ」「立て」を繰り返し行なうのは、私たちの行なうスクワットのような運動になります。後肢の筋力が付きます。

    バスタオルを丸めて、そこをまたいで歩かせる障害物越えは足を高く上げることになり、関節とバランス感覚の療法に有効です。バスタオルを丸める太さにより障害物の高さを調整することができます。

    道具を使ったリハビリで広く使われるものは、バランスボールです。バランスボールに上半身を預けて下半身を動かすのは後肢の筋力アップになります。

    もし家庭で眠っているランニングマシーンがあるのなら、これを使ってトレッドミルができます。ゆっくりとしたスピードで始めてください。

    さらに大がかりになりますが、水中ウオーキング(水中トレッドミルといいます)はとても良好な全身運動です。小さい犬なら夏場限定で深めのホームプールで運動させることができるかもしれません。活動の後はしっかり毛を乾かし寒くならないようにしてください。

基本的に理学療法は「卒業」できることはありません。いつまでも筋肉が衰えないように続けていただきたい運動です。どの方法も、関節症の痛みと症状の様子を見ながらいきなりハードな運動にならないよう注意が必要です。

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以前、待合室に展示した生活改善例。 

10・定期検診>

定期検診は重要です。体重管理ができているかどうか、細くなったお尻周りに筋肉が戻ってきているかどうかなどチェックします。サプリメントをうまく利用しつつ、消炎鎮痛薬を減量(最小量で痛みを取るように)したり、休薬する日を設けつつ痛みをコントロールしていくようにします。

 

11・そのほかの治療>

鍼治療は有効であるという報告があります。当院では行なっていません。

関節内注射は高度獣医療を提供している一部の病院で可能な治療法です。ヒアルロン酸をはじめ、自己調整血清や骨髄吸引濃縮液、培養骨髄由来幹細胞(再生医療になります)などの注入が考えられます。再生医療は新しい分野の治療法です。まだ初期段階の治療で、一部の病院でしか受けられない特殊な治療です。

犬と猫の痛みを制御するための抗神経成長因子モノクローナル抗体の開発がZoetis社から進められています。邦人の先生も参加している研究です。商品化される日が待ち遠しいところです。

 一旦、ロコモの話題から離れます。ロコモ予防体操、猫の関節症については今後お話ししていく予定です。


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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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