- 2023-06-04 :
- ワクチン
ワクチンに関する心配ごと3
ワクチンに関する飼い主さんの心配ごとについてお話ししています。3お話しお話しは抗体価の検査について。
抗体価検査
抗体は「愛犬の身体に感染しようとするこんなウイルスや細菌を、警戒するように!」とワクチンから伝えられた記憶のたんぱく質になります。特定の病気から愛犬を保護する抗体がどのくらいあるのかを見るのが抗体価の検査です。抗体価の検査は、過去にワクチンを接種したことのある病気(ジステンパー、伝染性肝炎、パルボウイルス感染症)に対して、愛犬が防御免疫を持っているかどうかを判断するのに役立ちます。
愛犬から採取した血液サンプルを繰り返し希釈し、希釈のたびに抗原(病原体)と反応させ、何回希釈した段階で抗原との反応がなくなるのか、というのを見ていきます。すごく薄められた血液でも、抗原との反応が得られれば抗体価は高いと評価されます。薄めてもいない血液でも抗原と反応できないのであれば抗体価が低いので、その病気の病原体が犬を襲ったときに、犬は戦う力を持ち合わせていないことになります。
*この検査は、ワクチン反応が起こったことがある犬や、自己免疫疾患を患っている犬には特に役立つと思います。

抗体価検査の限界
犬の免疫力は記憶のたんぱく質ですから、徐々に記憶が薄れ、最終的には尽きてしまいます。毎年、抗体価検査を行っていればワクチン追加接種をしなくても大丈夫ということにはなりません。愛犬の抗体価の結果が「体内にまだ防御力が残っている」(抗体価が高い)ことを示している場合は、その年のスケジュールからワクチン追加接種をスキップすることができるかもしれません。でも、抗体価検査は実施した時点で愛犬が持っている防御レベルを示しているのであって、その後の1年間十分な保護を保っていることを保証するのではないことも理解しておく必要があります。ですから、愛犬の(ワクチンがある感染症の)防御免疫が今からの1年の途中で切れてしまう可能性もあるというわけです。次の抗体価検査とワクチン追加接種まで何ヶ月かは分かりませんが、その間は感染症に対する免疫的な保護がないままになってしまう可能性も残しています。
もう一つの限界点は、抗体価を測定することができるのは、ジステンパー、伝染性肝炎。パルボウイルス感染症の3つだけということです。レプトスピラ症に対しては利用できる抗体価検査はありません。ですから、検査を受けた3つの病気に対してのワクチンをスキップすることはできても、検査を実施していない感染症については抗体があるかどうかの判断はできませんので、スキップするのは不安です。レプトスピラ症はコアワクチンではないのですが、1年ごとの追加接種が臨まれているのはこうした理由からです。
それから、偽陰性、偽陽性のどちらの可能性もゼロではありません。偽陰性は、本来ならば十分な免疫があるのに「抗体価が低い」という結果が出てしまったために結いか接種をする結果になることを言います。偽陽性は本来は免疫が低下しているのにワクチンが必要であったにもかかわらず、「抗体価は上がっているという結果のために、必要なワクチンをスキップしてしまい、次の検査まで免疫的な保護を亡くしてしまう可能性があります。
費用の面の問題もあります。結果的に抗体価が低いと分かれば、ワクチン接種が推奨されるため、検査をせずにワクチン接種をした方が結果的には安上がりだったということが発生することがあります。
毎年犬のワクチンと同じように狂犬病予防接種も行っているから、ジステンパーなどの免疫があるのであれば狂犬病の免疫もあるだろうと推測することもできません。狂犬病の予防接種は法律により義務付けられている注射ですので、こちらは接種をスキップすることができません。もしスキップしてしまった犬が人を噛んだ場合、予防接種を受けていない犬として扱われてしまいます。

レプトスピラ症の予防接種
「ワクチン反応は6種なら発生しない、8種は強すぎるから良くない」という逸話に惑わされている飼い主さんがいらっしゃいます。そのためにレプトスピラ症のワクチンを毎年スキップされています。1回に複数のワクチンを接種した小型犬(10kg未満)は、一般の犬よりも反応を起こす可能性が高いというデータも確かにありますが、レプトスピラ症をフリーにしてしまうのは不安が残ります。また、レプトスピラ症のワクチンそのものを警戒していらっしゃる飼い主さんもいらっしゃいます。多加として加わったレプトスピラ症ワクチンが単独に悪い影響を及ぼしていると考えていらっしゃるようです。
また、レプトスピラ症はイメージ的に農村部の病気で、そのような環境で飼育していないという主張をもつ飼い主さんもいらっしゃいます。「秋疫:あきやみ」は稲刈り時に発生していますしね。古い木造の一軒家だとネズミが発生するというようなイメージも荷担しているのかもしれません。アウトドアで水辺に近寄るアクティブなライフスタイルはしていない、野山を走り回る猟犬でもないというわけです。レプトスピラ症は都市部の生活と別の世界で発生する病気と捉えられがちです。けれどこのような感染しやすい状況は変化しています。にぎやかな都市では、レプトスピラ症はネズミや都市部の野生生物を介して犬に広がる可能性があります。都会の夜中にゴミ置き場に現れるネズミの大群の映像を見たことはないでしょうか。
電気工事のために天井に入った工事の方がレプトスピラ症に感染したというニュースを私たちは受け取りました。これは一般的なニュースにはなっていないのであまり知られていないかもしれません。また米国では2018年にボストンで大流行しています。大都会でも発生は起こるのです。
レプトスピラ症に付いては、以前にお話ししましたが、感染した犬は非常に重篤になり、回復するまで数日から2週間程度要します。その間に死亡してしまうこともあります。それからレプトスピラ症に関して考慮しなければいけないことは、これが人にも伝染する病気だということです。家に小さなお子さんや高齢者、または免疫に関係する病気にかかっている家族がいる場合は、さらに重要です。

抗体価検査
抗体は「愛犬の身体に感染しようとするこんなウイルスや細菌を、警戒するように!」とワクチンから伝えられた記憶のたんぱく質になります。特定の病気から愛犬を保護する抗体がどのくらいあるのかを見るのが抗体価の検査です。抗体価の検査は、過去にワクチンを接種したことのある病気(ジステンパー、伝染性肝炎、パルボウイルス感染症)に対して、愛犬が防御免疫を持っているかどうかを判断するのに役立ちます。
愛犬から採取した血液サンプルを繰り返し希釈し、希釈のたびに抗原(病原体)と反応させ、何回希釈した段階で抗原との反応がなくなるのか、というのを見ていきます。すごく薄められた血液でも、抗原との反応が得られれば抗体価は高いと評価されます。薄めてもいない血液でも抗原と反応できないのであれば抗体価が低いので、その病気の病原体が犬を襲ったときに、犬は戦う力を持ち合わせていないことになります。
*この検査は、ワクチン反応が起こったことがある犬や、自己免疫疾患を患っている犬には特に役立つと思います。

抗体価検査の限界
もう一つの限界点は、抗体価を測定することができるのは、ジステンパー、伝染性肝炎。パルボウイルス感染症の3つだけということです。レプトスピラ症に対しては利用できる抗体価検査はありません。ですから、検査を受けた3つの病気に対してのワクチンをスキップすることはできても、検査を実施していない感染症については抗体があるかどうかの判断はできませんので、スキップするのは不安です。レプトスピラ症はコアワクチンではないのですが、1年ごとの追加接種が臨まれているのはこうした理由からです。
それから、偽陰性、偽陽性のどちらの可能性もゼロではありません。偽陰性は、本来ならば十分な免疫があるのに「抗体価が低い」という結果が出てしまったために結いか接種をする結果になることを言います。偽陽性は本来は免疫が低下しているのにワクチンが必要であったにもかかわらず、「抗体価は上がっているという結果のために、必要なワクチンをスキップしてしまい、次の検査まで免疫的な保護を亡くしてしまう可能性があります。
費用の面の問題もあります。結果的に抗体価が低いと分かれば、ワクチン接種が推奨されるため、検査をせずにワクチン接種をした方が結果的には安上がりだったということが発生することがあります。
毎年犬のワクチンと同じように狂犬病予防接種も行っているから、ジステンパーなどの免疫があるのであれば狂犬病の免疫もあるだろうと推測することもできません。狂犬病の予防接種は法律により義務付けられている注射ですので、こちらは接種をスキップすることができません。もしスキップしてしまった犬が人を噛んだ場合、予防接種を受けていない犬として扱われてしまいます。

レプトスピラ症の予防接種
「ワクチン反応は6種なら発生しない、8種は強すぎるから良くない」という逸話に惑わされている飼い主さんがいらっしゃいます。そのためにレプトスピラ症のワクチンを毎年スキップされています。1回に複数のワクチンを接種した小型犬(10kg未満)は、一般の犬よりも反応を起こす可能性が高いというデータも確かにありますが、レプトスピラ症をフリーにしてしまうのは不安が残ります。また、レプトスピラ症のワクチンそのものを警戒していらっしゃる飼い主さんもいらっしゃいます。多加として加わったレプトスピラ症ワクチンが単独に悪い影響を及ぼしていると考えていらっしゃるようです。
また、レプトスピラ症はイメージ的に農村部の病気で、そのような環境で飼育していないという主張をもつ飼い主さんもいらっしゃいます。「秋疫:あきやみ」は稲刈り時に発生していますしね。古い木造の一軒家だとネズミが発生するというようなイメージも荷担しているのかもしれません。アウトドアで水辺に近寄るアクティブなライフスタイルはしていない、野山を走り回る猟犬でもないというわけです。レプトスピラ症は都市部の生活と別の世界で発生する病気と捉えられがちです。けれどこのような感染しやすい状況は変化しています。にぎやかな都市では、レプトスピラ症はネズミや都市部の野生生物を介して犬に広がる可能性があります。都会の夜中にゴミ置き場に現れるネズミの大群の映像を見たことはないでしょうか。
電気工事のために天井に入った工事の方がレプトスピラ症に感染したというニュースを私たちは受け取りました。これは一般的なニュースにはなっていないのであまり知られていないかもしれません。また米国では2018年にボストンで大流行しています。大都会でも発生は起こるのです。
レプトスピラ症に付いては、以前にお話ししましたが、感染した犬は非常に重篤になり、回復するまで数日から2週間程度要します。その間に死亡してしまうこともあります。それからレプトスピラ症に関して考慮しなければいけないことは、これが人にも伝染する病気だということです。家に小さなお子さんや高齢者、または免疫に関係する病気にかかっている家族がいる場合は、さらに重要です。

安全なワクチン接種
1回に多くのワクチンを接種して愛犬に問題が発生するのではないかと気になさる飼い主さんへのおすすめは、混合ワクチンとレプトスピラ症のワクチンを別々に接種する方法です。春と秋の2回接種です。それからレプトスピラ症ワクチンは、近年大幅に改善され、免疫原性が低下し、副作用の可能性が低くなりましたから、単独のワクチンで問題を発生させることはまずありません。
どうか懸念を払拭されて、正しい情報を手に入れてください。そしてどんなワクチンが「うちの子」に一番ふさわしいのかどうか話し合ってみましょう。
ワクチン接種に消極的になる疾患について、いずれご紹介したいと思います。免疫抑制剤やステロイドのお薬を使用する病気です。すでにご紹介済みの病気もあります。この犬たち、現在まさに闘病中のときはワクチン接種は推奨できません。過去にかかったことがあって、今は安定しているために休薬している場合でも、ワクチン接種が引き金になって再燃してしまう可能性もあります。
さて。ワクチン関連のお話、一旦終了します。
さて。ワクチン関連のお話、一旦終了します。
スポンサーサイト