アトピー性皮膚炎・その2

アトピー性皮膚炎についてのお話・2回目です。
今回はアトピーの発生と症状についてお話しましょう。


先週のお話を少しだけ巻き戻すことになりますが、まずは野球部員のお話から。免疫を担う野球部員が学校のフェンス近くの野球場で外部を意識しながら練習をしているとしましょう。フェンス近くに敵だとみなした相手がやってくればボールを投げる方向をフェンスに向けていくことになります。するとフェンスは壊れますよね。フェンスが植え込みの木であれば、葉が落ちることでしょう。そして植え込み周辺は汚れます。こういうことが体の中でおこっています。そんなことを想像しながら、読み進めてください。


自分と自分以外のものを隔てている壁には皮膚やその他の膜があります。ここでは外部から侵入したアレルゲンを体内に入れまいとして、免疫が一生懸命攻撃を仕掛けています。攻撃が起こった場所では組織が壊れ、炎症が起こります。炎症が起こると炎症に関係した細胞からかゆみのもとになる物質が出てきます。激しい攻撃が起これば起こるほど、炎症も強くなり、かゆみも増してきます。かゆければ体がそこを掻きますから、さらに壁を壊すことに拍車がかかります。こうしてかゆみの悪循環が始まります。
半分眠っている状態の時に蚊にさされると、無意識のうちに激しく掻いて、蚊にさされたところとその周りの皮膚を掻き破ってしまい「かきこわし」ができますね。カユイから掻く。掻けばさらにカユクなるからまた掻いてしまう。こういう繰り返しが「かゆみの悪循環」です。


戦いの場所が皮膚であれば皮膚炎です。はじめは単に肌の色がうすピンクになるだけです。ほとんどの飼い主さんはこのレベルでは気づかれていません。
さらに進むと全体が赤くなります
局所的に激しく赤くなる子もいます。眼の周り、口の周り、足の裏、わきの下、股、肛門の周りなどです。
かゆいと常に舐めるようになります。その結果被毛が薄くなり、地肌が見えやすくなります。長いこと続いていると完全に毛が切れてつるつるしてくることもあります。 赤みが目立ち、誰もが気づくようになりますが、常に赤くなっているとこれが「当たり前」なために異常だと思われない飼い主さんもいらっしゃいます。
また、こういった場所では赤くなるだけでなく、ポツポツした発疹や、赤みが広範囲に連なりまだらに盛り上がって見えることもあるでしょう。ここまで来ると相当かゆいので、舐めるだけでなく、必死に掻いたり、カミカミしたりしてさらに悪くしてしまいます。

戦いの場所は皮膚だけではありません。自分と自分以外を隔てている場所で起こりやすい訳ですから、眼、鼻、気管支、胃腸でも起こるのです。
であれば、涙が多い、眼が赤い、目やにが出る、眼の下の皮膚が濡れている などの症状が出ます。
であればくしゃみや鼻水です。それを気にして舐めれば口と鼻の間の毛が抜けてつるつる になってしまいます。
気管支で起こるとぜんそく。咳というより、ヒーヒーという「吸う」よりも「はく」ほうが目立つ呼吸様式になります。とても苦しそうですから分かりやすいと思います。
また、まさかと思われるかしれませんが、胃腸炎もあります。主な症状は下痢です。症状が消化器系のものだと、原因がアレルギーによるものだとお伝えしても納得できない飼い主さんが多いようです。しかし、アレルギーによる胃腸炎は慢性の下痢、急性の下痢、どちらもありです。


免疫バランスの崩れとアレルギーの発症は密接に関係しています。

皮膚には常在細菌といって、常に私たちと共存している細菌があります。日常、それは私たちに害を及ぼすことはありません。また、マラセジアという酵母菌が皮膚や耳の中で増殖して強いかゆみを引き起こすことがありますが、このマラセジアも常在しているものです。その他、ニキビダニと呼ばれるダニですが、これも毛包内に常在しています。(これは顕微鏡でなければ観ることができない小さなダニで、イエダニとか、草むらで感染してくるマダニとも違うものです)これら、常在細菌やマラセジア、ニキビダニは免疫のバランスが崩れると一気に増殖し、かゆみや脱毛を引き起こします。

腸内に常在する細菌のことはみなさん、よくご存知だと思います。善玉菌とか悪玉菌とか言われる菌です。これも免疫バランスが崩れると悪玉菌が増え、下痢のもとです。

口の中にも細菌は常在しています。猫エイズなどで免疫力が衰えると口内炎を起こすのにこの菌が関与しています。アレルギーでも口唇部が赤くただれてくることがありますが、こうした常在細菌と関連しています。


皮膚炎にしても涙目にしても、くしゃみや咳、下痢についても、それらがすべてアトピーを原因としているものなのかどうかは診ただけでわかるわけではありません。そこでいろいろな質問をし、お答えいただくことになります。飼い主さんからすると、うんざりしてしまうかもしれません。アトピーは日常生活の中で現れやすいものなのです。どうか、たくさんの質問も病気の解明のためと思って、ご協力ください。
そして、別の病気ではないかどうかも考えて、総合的に診断していきます。

次週につづく。

6月26日より7月8月9月まで、オーナー向けセミナーはアレルギーに関するものを中心に開催する予定です。お気軽にご参加ください。
6/26:アレルギー性皮膚炎について
7/10:アレルギー性皮膚炎と食事について
7/17:アレルギー性皮膚炎とシャンプーについて
7/24:アレルギー性皮膚炎と特殊な薬について 






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