猫の甲状腺機能亢進症


頑張っている子たち、しばらくワンが続いておりました。久しぶりの頑張るニャンコさんのご紹介です。

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モカちゃん。彼女は、いまどきの言葉で言いますとツンデレちゃんです。ほんっと、怖いんです。「診察しましょうねぇ~」と優しーく言葉をかけながらキャリーを開けますが、いつも攻撃的。「シャー!しゃしゃしゃのシャー!」というお返事。「気軽に呼ぶんじゃないわよ!」「気安く触らないで!」と言っているようです。彼女がごーろごーろ言ってくれるのなんか聞いたことがありません。そして彼女はなかなかの高齢ですが足腰もシャキーン。猫パーンチも健在なのです。

 

その彼女の「毛並みがよくない」、ということでお母さんが心配して連れてこられました。確かにチンチラさんの長毛がマッティーにところどころくっついています。かるく質問をしていきました。「食欲はありますか?」「ありすぎるくらいです」「痩せてきましたね?」「歳かと思っていたんですけど、確かに痩せてきました」
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↑こんな感じで毛がよれて固まっていたり、部分的に抜けてしまったりしています。

 

もう、ここまでで病気が何であるか、ピーンときました。
「甲状腺機能亢進症」です。
 
 確定診断は血液中のホルモン値を測定する検査です。それでベテランVTさんと新人VTさんが何とか血液が採れるように準備を整えてくれました。ツンデレさんからの採血は、いかにプロでも難儀なものです。「保定8割」と言って、採血は抜く人よりも動物をしっかり持ってくれる人の技術によるところが大きいのです。ハートさんのスタッフのスバラシイこと!なんと、必要十分量だけしっかり抜けました。甲状腺ホルモン値の検査と貧血検査、肝機能・腎機能の検査をオーダーし、血圧測定、そして心電図検査と胸部のレントゲン撮影を実施しました。

 

結果は疑った通り。間違いなく甲状腺機能亢進症であることが分かりました。軽度の心肥大もありましたし、高血圧も認められました。

 

甲状腺は喉のちょっと下、首のところにある組織で、カルシウムやリンの代謝に関係する上皮小体もそばにあります。甲状腺は「体の新陳代謝を促す、生きていくために必要なホルモン」を分泌しています。甲状腺機能亢進症ではこのホルモンが必要以上に分泌されてしまうため、体の新陳代謝が高まってしまいます。ヒトでは「暑がり」で「汗がたくさん出て」「だるい」と言われますね。猫では「たくさん食べても痩せる」「ドキドキして呼吸も速くなる」「過度に活発で攻撃的」というのが特徴的な所見です。
 
 甲状腺機能亢進症の原因は主に甲状腺腫。良性の過形成です。もちろん悪性の甲状腺がんのこともありますが、猫では極めてまれです。また、甲状腺の異常に放射線がかかわっているかどうかについては明らかではありません。

 

治療法は甲状腺ホルモンの働きを抑える薬をのむことです。すぐに手術で大きくなっている甲状腺を切除することはありません。しかし高齢の猫ちゃんは、それまでの過剰なホルモンのおかげで血液循環を盛んにし、腎臓の働きが弱っているのをカバーしてくれているため、実は隠れ腎臓病であることがあるのです。これが長期にわたるこの病気の管理の難しいところ。そのため、まずは薬を投与して、甲状腺の働きを抑えても心臓や腎臓に問題が起こらないかどうかを見ていきます。そして大丈夫なら薬を継続するのかまたは手術に踏み切るのかを決断します。

 

さて、モカちゃんも初診時の検査では腎機能は十分にあるように見えていました。けれど薬を続けるうちに高窒素血症が顕在化してきました。そこでお母さんと話し合った結果、腎臓の治療を優先することになりました。

 

若いうちにこの病気があることに気がついた場合、腎臓の評価は良好なことが多く、外科的に甲状腺を摘出することもできますし、今回のような抗甲状腺薬をずっとのんでいただくことでも解決します。しかし「食欲があって元気すぎる」のが特徴のこの病気は、「元気」で「食欲がある」が故になかなかオーナーさんに発見してもらえないのが難点です。

 

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