糖尿病・3

糖尿病・3回目。

今回は治療に関してお話ししましょう。

 

まず治療の目的についてご理解ください

 

人では糖尿病を2030年患うと、合併症として心臓病や脳卒中、慢性腎不全(透析や腎移植の適応として糖尿病由来のものはほんとに多いのです)、失明、足先の壊死などを心配する状況になってしまうようです。そこで厳格な血糖値コントロールが必要になってくるのですね。そう。いつも血糖値を下げておく必要があるということです。

しかし、犬や猫では糖尿病を診断してからそもそも20年も30年も生きることはありません。つまり合併症が発生するまで生きられないことがほとんどです。(犬の糖尿病性白内障は別です。猫に関しては白内障も稀です。)犬でも猫でも糖尿病性腎症にぶつかることはありますがそれはまれなケースです。

そこで治療目的飼い主さんの満足度、例えば
①多尿がなく夜中の排泄に困らない、とか、

②動物が臨床的に安定していること、
③体重減少がない、
④食欲も安定している
などになってきます。実を言うと、ここに追加して、
⑤治療する立場の獣医師としても治療結果に満足であること、
というのを加えたいのですが、それはこちらサイドのお話です。「もっとうまくいきそうなのにな」と治療成績にジレンマを抱く症例もあるのですが、それは小さな問題です。


それで、治療のゴールですが
必ずしも検査数値がばっちり基準範囲内におさまることはなくてもOK
を出しています。1日のうちの高血糖の時間ができるだけ短いこと、極端な高血糖ではないこと、を主眼に置く感じです。 

小田井チコ・糖尿病 
チコちゃん。相当ひどい併発症がありました。よくぞここまで回復してくださった。そういう思い入れの多い子です。可愛いですよ。

 



治療の概要

 

いくつかの治療法がありますが、この中のどれか一つを選択するのではなく、どれもを行うことで糖尿病をコントロールしていきます。

①インシュリン療法

②食事療法(適正体重維持のため最適な食事を選ぶこと)

③基礎疾患、併発疾患の治療

人でよく使われる「経口血糖下降薬」ですが、犬猫の糖尿病では残念ながらほとんどこの飲み薬に反応しないタイプの糖尿病です。ですから、毎日注射。食事制限あり。運動すべし。他の病気も一緒に治療。という4つのコースになるのです。



 

治療開始

 

さて、診断がついたらすぐにでも治療を開始です。糖尿病性ケトアシドーシスなどを伴う重症化したものでは、長いことおかしくなっていた糖質や脂肪などの代謝異常を改善させるため、インシュリン注射のほか適切な点滴も必要です。そうしてインシュリン注射だけの治療になるまで、できれば1週間くらいは入院し、日中の血糖値をくわしく調べながら治療していくのが望ましい方法です。しかし、中には入院のストレスが強く、食事が取れないような犬猫もいますので、安定するまで、毎日の通院をお願いすることもあります。

この1週間の間に必要な栄養計算も行います。肥満なら体重を落とさなければいけません。痩せているなら体重を増やすようにしていかなければいけません。そしてその食事内容と食事量を動物に受け入れてもらわなければいけません。

糖尿病では摂取した栄養が徐々に吸収され、食後血糖値が急激に上昇するのを抑えることができる療法食を食べてもらいたいのです。そのため、今までの食事から徐々に理想とされる食事へ変更していきます。初期にわずらっていた併発症があるとなかなかすぐにうまくいくとは限りませんが、この開始時期にはインシュリン療法と食事療法、併発疾患への治療が行われる、治療濃厚期になります。

 

糖尿病についてのお話、少々長くなってきました。その後の日常治療については次回にいたします。日常治療は家庭での治療です。ご家族の方にインシュリン注射をお願いしています。

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