腫瘍・総合1

今回から3回に渡って、腫瘍全般のことについてお話しようかと思います。

 

腫瘍は炎症でもないのに出来上がった腫れ物です。腫瘤、新生物という言い方もします。

 

私たちのからだを作っている元のいっちばん小さいサイズのものが「細胞」です。レゴブロックでガンダムを作るとします。頭の部分とか、腕の部分とか、そういうパーツも、はじめは11個の小さなブロックから積み重ねていきます。その、最初のひとつが細胞です。

 

レゴで作ったガンダムはそのままですが、私たちの細胞は日夜分裂を繰り返し、常に新しいものと置き換わっています。細胞には遺伝子命令が入っています。「何回分裂したら終わりです。」という情報です。それで必要なところに必要な分だけ供給されます。でも、腫瘍細胞ではその命令が壊れています。それで、何度でも分裂を繰り返し、きりなく増え続けていきます。そうしてこんもり盛り上がり、やがてはどうしようもなく大きくなってしまうのです。
山下ナル・腹腔内腫瘍 
ナルちゃん。おなかの中に腫瘍が出来てしまいました。

 

さて、分裂回数を「ここまで!」に決めるのはDNAですが、DNAは皆さんご存知のようにらせん構造をしています。ロープ状のはしごをゆったりくねらせてある状態です。このロープの一こまずつが色違いになっていて、基本の4色の配列順で情報が決まります。このらせん状はしごは、真ん中で左右に別れるようになっています。はしご状になっていれば強い構造ですが。これを半分に切ったときはとても弱い状態です。そして、このような時、遺伝子情報は傷つきやすいのです。不安定な状態なわけです。

 

この情報が壊れると、本当は自分のパーツを作るはずだったのに、自分を基にしてはいるけれど、全然自分じゃない異常細胞を作りはじめます。そして、分裂回数は無制限にセットされていますので、結果として「異常細胞が、異常に増え続ける」ということになります。これが腫瘍です

 

もちろん、自然のからだにはこのような異常細胞を作らせまいとする力、免疫防御機構もあるのですが、腫瘍細胞の強い力に負けてしまうため、異常なまでに増えてしまうのです。

DSC00365.jpg

 

「こんなに大きくて痛くないんでしょうか」という質問をお受けします。あの盛り上がりの中にあるのは腫瘍細胞と、そこに栄養を供給する血管(そこからでていく血管も含まれます)、リンパ管だけで、神経細胞はありません。もちろん周囲にもともとあった神経を巻き込むとか、腫瘍が大きくなりすぎて、周囲の神経を圧迫するとか、そのようなことがあれば、当然痛みも発生しますが、それはだいぶ後のことです。(骨にできる腫瘍だけは、激しい痛みがあります)

 

そして、この血管やリンパ管の中にも腫瘍細胞は入り込み、この流れに従って遠くへ運ばれていきます。花が咲いた後にできる種を風や鳥が遠くへ運んでいくのと同じようなことが、からだの中で起こります。これが転移です。腫瘍細胞によって、行き先の好みがあります。

 

今回のお話はここまでです。

次回は発生について。
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