反応性肝障害・5

第5話:反応性肝障害の例

 

反応性肝障害ではALTに比べALPが高くなるのが多いようです。(ALTやALPについては第2話を参考になさって下さい)ALTは正常値よりわずかに上昇しているのですが、ALP3倍くらいに跳ね上がっています。ALTの標準値は2桁以内ですのでまぁ100~200U/ℓの間(たいていは~150 U/ℓくらい)でしょうか。そしてALPは基準値の上限が300 U/ℓくらいですので、1000 U/ℓ程度です。ちなみに胆汁酸(TBA)はほぼ正常値であることが多いです。

さて、こうした上昇が起こる、肝臓が悪い以外の問題は、次のようなことです。

 

①肝臓以外の組織の腫瘍

肝臓の腫瘍で肝酵素が上昇するのは当たり前なんですが、肝臓以外のところにできた腫瘍でも、肝酵素が高くなることがあります。ALPは肝細胞ではないところ、腫瘍細胞でも作られるため、高くなるのです。

もし、うっかり身体を触れてないようでしたら、そしてある程度年齢のいっているメス犬だったら、ほんの小さな乳腺腫瘍が隠されているかもしれません。

 

②消化器系疾患

長く続いている腸疾患に併発して、肝酵素が高くなっていることがあります。1ヶ月以上下痢が続いているという場合は、こちらがもとになっている可能性もあります。

 急性膵炎でも肝酵素は上昇します。膵臓と肝臓、胆嚢は十二指腸を介して非常に近くにあります。肝臓そのものが直接損傷していることもありますが、肝臓に膵臓の炎症が波及することもあります。

 

③副腎皮質機能亢進症

 クッシング症候群とも言われます。腎臓の近くの副腎という組織に問題があり、そこから分泌されるホルモンが上昇する病気です。肝酵素はここから分泌されるステロイドホルモンにより高くなります。
 (また何らかの理由でプレゾニドロンなどの薬を服用している場合も高い値が出ますが、これも医原性にホルモンが高くなっているためです。)

 もし、たくさん水を飲んで、大量の尿をするとか、お腹がぷっくりしているとか、お腹の皮膚が薄っぺらいとかいう場合は、ぜひホルモンの検査を受けてみて下さい。

 

④糖尿病/高脂血症

 糖尿病でも肝酵素は高い値が出ます。糖質の代謝と脂質の代謝に問題があるせいで、肝細胞にたくさんの脂肪分が貯蔵されてしまうからです。

 糖尿病までいかなくても、肝臓に負担がかかるくらいの脂質代謝異常が起こると、同じように肝細胞に脂肪分が蓄積され、肝酵素は高くなります。

 

⑤甲状腺機能低下症/高脂血症

 また、代謝全般に関係してくる甲状腺ホルモンが低くなっても、肝酵素が高くなることがあります。

 

⑥胆嚢疾患

 胆嚢内に胆泥というヘドロのようなどろどろした胆汁が滞るのを「胆泥症」といっています。またぷるんとしたコーヒーゼリーのようなものがたまっているのは「胆嚢粘液のうしゅ」です。このどちらも、胆道系の流れが悪いため肝酵素が上昇します。

 

 以上が、わりによく見られる「反応性肝障害」です。それぞれの病気の特徴については、別の機会でお話したことがあるかもしれません。それから、それぞれに、別の症状があるので、この血液検査によらなくても、診断されているかもしれません。個人的には内分泌疾患(ホルモンの病気)である③や⑤、静かに進んでいる⑥のような病気が多いように思います。

 

5話連続でお話してきた「肝酵素が高い」けど「肝疾患の症状がない」という「反応性肝障害」についてのお話。今回で終わりにしようかと思いましたが、次週もう1回、おまけをつづります。

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