猫の不適切な排尿・2

2、心因性の問題によって発症する不適切な排泄

 

猫の不適切な排尿に関しては「ストレスでしょうか」と気にされている飼い主さんもいらっしゃいます。猫を取り巻く環境の変化が猫にとって好ましいものではないようだ、とうっすら感じておられるようです。しかし行動学的に見てみると、単純に「ストレス」というひとくくりではありません。このような行動をとる猫達の心理的背景は恐怖や不安、抑うつという3つの状況があります。

 

①恐怖症

恐怖状態ではトイレを使うことはできません。全く社会化されていない猫を屋内で飼育し始めると、こうした問題によく遭遇します。音、人の気配、部屋という閉鎖されている空間、そのほか。すべてが恐怖の対象です。そうして屋内で過緊張状態がずっと続いていますので、ぎりぎりになっても動くことができず粗相してしまいます。こうした半野良猫とでも呼ぶ猫達の対処法はなかなか難しいものがあります。

 

また「トイレ」が怖くなってしまった、ということがあります。

猫がトイレを使っているときに、何か大きな音がした、とか、トイレが扉の陰にあったためにトイレ使用中にドアがぶつかってしまった、もしくは使おうと思ったら邪魔が入ったなど。

私達もそうですが、トイレというのは安心して使える状況でなければいやなものです。尿意を催して、入ったトイレが汚かったり、臭かったり、大きな蜘蛛が這っていたりしたらいかがですか?そこには入りたくないものです。

 

トイレに関連した記憶も関連します。ひどい痛みを伴う膀胱炎のときに使用したトイレを使うのをためらうようになることもあります。別のトイレを違う場所に置くだけで改善してしまうのはこのような理由によるものです。

きっとあなたも自分の記憶の中で劇症の病態のときに使ったものはマイナスイメージがまとわりついているでしょう。

 

②不安症

不安状態は、恐怖に続いて起こるものです。猫は恐怖状況を避けることができなくなってくると、不安症になります。

 

不安症になっているときに現れる症状があります。気の強い猫では攻撃という行動に出ますが、内臓諸機関のトラブルが生じる猫がほとんどです。毛玉や泡状の黄色い液の嘔吐を繰り返す胃腸炎のほか、何度もトイレに行き赤色尿を出す膀胱炎はよくあることです。もちろん脱毛もあるのですが、猫の場合は、ひっきりなしに身づくろいをした結果です。毛球症もストレスと密接な関係があります。

人でも、胃がきりきり痛むとか、急な円形脱毛症になってしまった、というようなことがあると思うのですが、このようなことが猫にも起こるということです。

 

不安になると、自分の縄張りを主張する能力にひずみができてきます。それで縄張りの主張に混乱が生じるのです。

私達も自信が揺らいできたとき、居場所がないような寂しい思いをしますが、おそらく猫もそのようなことが起こるのですね。

 

③抑うつ

抑うつというと、さらに困った状況が続いたように思われるかもしれません。

 

不適切な排尿を伴う一番ありふれた抑うつは高齢の猫に見られるものです。とてもよく眠ります。認知障害を伴っていたりもします。やる気に欠け、ストレスに過敏に反応し、学習した行動パターンがくずれてきます。縄張りをコントロールできていないと感じたときには、適正でない場所でも排泄してしまいます。痴呆のひとつの症状であるととらえていただくのが最も分かりやすいかもしれません。

 

さあ、このように、不適切な排泄の背景には、このようなこころの問題が関与することがあります。年齢や今置かれている環境のことなど、詳しくお伺いしないと、はっきりしない部分が多いのを分かっていただけたと思います。

 

 

次回は尿路系の病気と関連した「不適切な排泄」についてお話します。

 

 

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