涙のおはなし2・免疫介在性KCS

犬の「乾燥性角結膜炎・KCS」の原因として最も多いのは「自己免疫性」のものです。

 

以前、免疫のことについてはお話しましたが、この自己免疫というのは自分の身体を敵だと思って攻撃してしまう「誤爆」です。つまり、涙腺が免疫システムによって壊されてしまうのです。誘因は分かりませんが、特定の犬種に好発するころからすると、家族性の素因があるのかもしれません。海外の本にはウエスティ、ブルテリ、コッカがよく載っていますが、実際に診療していて出会うのはシーズやヨーキーです。

 

目は膿性の目やにで覆われています。粘着性で接着性な目やにです。結膜や強膜が赤く充血していることもあります。目の表面は乾いています。つやがなく、表面がえぐれていることもあります(角膜潰瘍)。でこぼこの表面で、ざらついた感じがします。洗眼液をたらしても、この目やには簡単に拭い取ることができません。さらに進行したものでは表面が真っ黒になっています。からからに干からびた黒飴のように見えると思います。

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急性の場合、疼痛があります。目をこすったり、細めたりという行動が見られます。軽い場合は目やにだけだったりするので「結膜炎」と診断されてしまうこともあります。多くの場合、両方の目が侵されます。

 

確定診断のため、シルマーティアテスト(STT)を実施します。縦長のろ紙を目に挟みます。この紙を涙が伝って濡らします。1分間でどのくらいの長さを涙が濡らしたのか、を測定するのです。涙が多ければろ紙は長く濡れます。涙の量が少ないとほとんど濡れることはありません。一般的に健康な目では20mm以上、乾燥性角膜炎では10mm未満、怪しいぞ、というのがその間、ということになります。(猫ちゃんではこの数値は違います。)

 

角膜の表面が傷ついていないかどうかを検査するのはフルオレセイン染色検査です。表面に傷があると緑色に染まります。表面のえぐれ、がさつき(潰瘍やびらん)があることを意味します。

 

治療の目的は涙が産生されるようにすること。涙の喪失を防いで涙が目全体を行き渡るようにすること。もちろん基礎となる原因を治療することも大切です。また、二次感染の予防や治療も必要な場合があるでしょう。

 

この点から考えられる最も良い方法はシクロスポリン(免疫抑制剤)の点眼です。シクロスポリンは免疫介在物質が涙腺に浸潤することを防ぐだけでなく、直接的に涙を産生させる能力ももっている薬です。抗炎症作用もあり、目の症状を緩和することができます。

 

具体的には12回の点眼から始めます。もちろん、目やにで覆われた目をきれいに洗浄してから始めましょう。2週間ごとに評価のため来院していただきます。効果がでてきた場合は徐々に点眼頻度を減らしていっても有効です。1日に1回、また2日に1回でも充分、目に潤いが表れ、きらりと光るみずみずしい輝く瞳が戻ってきます。

目薬の効果が充分発揮されているかどうかを検査するには、家で点眼していただいてから3時間を経過した頃が良いということが分かっています。再診日、再診時刻をこの点眼時刻に合わせて来院していただくとよいとおもいます。

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