カビと酵母菌

細菌に続いて「カビ」のおはなしをしようかと思います。

 

暑くてじめじめした日本の夏。食べ残しのパンなど、「しまった!しまい忘れた!」と気がつけばカビが生えています。お風呂場のタイル目地の間のカビもしぶといです。ちょっとお掃除を怠れば黒ずみが濃くなっています。食べ物ならずも、石鹸とかの飛び散りも自分の栄養にして増えていくのですからカビってすごいです。

 

栄養源を体内に取り込んでから消化酵素で分解するのがわたし達の栄養吸収方法ですが、カビはその順序が逆です。カビは酵素を外に出して分解してから栄養素を取り込むのです。

 

そしてこの酵素の能力は圧巻ですが、こうしたカビのすごい能力をわたし達の祖先はうまく利用してきました。

 

昨今、大ブレイクをおこした「塩麹・しおこうじ」ですが、この麹もアスペルギルス。カビの仲間です。米や麦、芋などのでんぷんを麹の力でブドウ糖に変えています。

わたし達の身体で、でんぷんをブドウ糖に変えるのはアミラーゼですね。麹もこのアミラーゼを大量に作り分泌する能力があるのです。

カマンベールチーズには白カビ、ブルーチーズには青カビが協力してくれています。でんぷんをブドウ糖に変えるだけでなく、蛋白質をアミノ酸に、核酸をヌクレオチドに分解する力も持っているのですね。

おそるべしカビの力。この力で食品に甘みやうまみ、風味や香りをつけてくれます。
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こうした人にとって有益なカビばかりではありません。有害なカビも存在します。

 

「皮膚糸状菌症」とか「皮膚真菌症」といわれる皮膚病はカビを原因としたものです。主にマイクロスポーラム・キャニスという菌で、アスペルギルスやトリコフィートンなども原因となることがあります。楕円形の脱毛とガサガサした分厚いかさぶた、周りの皮膚のリング状の赤みが特徴です。犬にも猫にもあります。

 

また「猫の副鼻腔炎」のなかに、とくに治りの悪いものにアスペルギルス症があります。いつも鼻がぐずぐずしていて、鼻梁部が膨らんでいたりします。目やにも出ます。

 

屋内のカビ、ことに浴室や台所、リビングルームや畳などに発生するカビがアレルギーの元になることもあります。カビの胞子はとても小さく、部屋の中を舞っています。気管支喘息などの呼吸器症状を出します。

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ところで、麹が変換したブドウ糖をアルコールに変えるのは酵母菌の仕事です。ワインや日本酒、焼酎とかでおなじみのことかと思います。この酵母菌に分類される菌にも悪者がいます。

 

酵母菌と言えばカンジダが有名です。口の周りや目の周りなどにガサつきの激しい皮膚炎をおこします。免疫のバランスが崩れたときに発症します。

 

また、犬でよくみられる真っ黒の耳垢を特徴とする外耳炎ですが、耳垢検査をするとマラセジア(マラセチア)という酵母菌を見つけ出すことができます。また足の裏、指の間など、濡れたあとうまく乾かせなかったような場所も好み、赤い皮膚炎をおこします。腹部や肛門周囲、陰部まわりにも発生します。「マラセジア性外耳炎」「マラセジア性皮膚炎」などと呼んでいますが、うまく検出できないこともあります。「脂漏症」と呼んでいる皮膚炎はこのマラセジア菌と関連があります。


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カビ菌も酵母菌もひろく自然界にいますけど、悪いことしますよね。そうそう。カビ毒は身体にとても悪いので、カビの生えたお餅とかジャムとか、カビの部分だけ取り除いて食べる、なんてことはしないでくださいね。カビの菌糸は透明で見えないので、もっともっと奥深く入り込んでいて、目に見えないだけです。カビ毒のアフラトキシンは肝臓障害を引き起こします。あなたが健康でいるから愛犬・愛猫を守ってくれていることもお忘れなく。

 

 

 

あらっ。活躍する良い菌の例が食べるものばかりになってしまいました!抗生物質のペニシリンとかも、真菌から発見されたものです。抗がん剤や、フィラリア予防の薬などにも活躍しています。というところで。今日はおしまいです。

 

ばいばいきーん!


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