慢性腎臓病。その4

 慢性腎臓病について。その4。

慢性腎臓病の際に動物病院から処方されるお薬と、病院で実施する治療について、一般的なものをご紹介いたします。

 

 

慢性腎臓病のステージがもうひとつ上がると、そろそろお薬も始めたほうがよさそうですね、という話になってきます。

そんなときに処方になるお薬です。

具体的にはステージⅡ~Ⅲあたりから、と考えて下さい。

 

☆ステージⅡくらいですと、ご家庭で水分摂取に気を使っていただき、食事療法のほかに上乗せするとしたら、以下の薬になります。この時期が安定していれば、病期の進行具合をチェックするのも6ヶ月ごとで充分ではないかと思います。体重に変化が無いかどうか、血圧は安定しているかなどの検査は服薬のついでに実施できるとなおいいですよね。

 

1)エナラプリル。ベナゼプリル。

ACE-I(アンギオテンシン変換酵素―阻害薬)に分類されるこのお薬は、血圧のお薬になります。末梢血管を広げ、腎臓に血液がスムースに流れていくことを目的としています。血圧をさげる効果もあります。また腎臓の構成単位であるネフロンに対しても、ここから出て行く血管を広げて調整するので、ネフロンの負担が軽くなります。11回の内服投与です。動物専用のお薬があります。バニラまたはビーフの風味がついているものもあります。
 もうすこし強く血圧を下げるお薬を併用することもあります。

 

2)コバルジン。

 活性炭製剤です。吸着薬とも言われます。窒素代謝物を腎臓に流れる前に、腸管で吸着しましょう、腸から糞便を介して体外に排泄しておきましょう、というコンセプトのお薬です。窒素代謝物は血液中に乗って体中を巡っています。食べた直後だけでなくまた腸管に戻ってくる、ということです。吸着薬はこうしてぐるぐる回り巡ってきた窒素代謝物と結合します。体というのは食事を取れなかったときは自分の身体を削って消費していきます。専門的には異化作用と言いますが、自分の筋肉を分解してたんぱく質として使うのです。食事をしないのに窒素代謝物がでるのはこのためです。食欲が無く少量しか食事をしないと、窒素代謝物が発生しないだろうから吸着薬を投与しなくても大丈夫なのではないか、と思われるかもしれませんが、そんなときでも体は生きているかぎり、窒素代謝物を生成しています。

 

 DSC01805.jpg

 

☆そして、さらに病期が進んで、ステージⅢまできた場合、自分の力だけでは水分摂取が充分ではなく、窒素代謝物の貯留も出てくるかもしれませんね。以前よりもこまめに通院し、検査の間隔も短くしてください。具体的には3ヶ月毎の検査、1ヶ月に1回の再診です。この時期になると、内服以外の治療も必要になってくるので、このくらいの診察頻度をお願いしています。

 

3)輸液療法。

 脱水の解除、もしくは水分補給を目的として、定期的に電解質バランスのとれた輸液を施す必要があります。たいていは皮下輸液で充分です。頻度(週に何回行うのか)や量(どのくらい注入するのか)、内容(輸液剤は何を選ぶのか)はそれぞれの個体によって、また状態によって異なります。定期的に病院に通っていただく場合もありますし、ストレスがかかるとか、通院時間をとるのが難しいというような場合、ご家庭でもできるようご指導いたします。「時間が無い」「病院はきらい」「車酔いが激しい」と治療をあきらめないで、どうぞ「おうち点滴」に挑戦いてください。

 お願い。「おうち点滴」であっても定期的に診察にはお越しください。

 

4)そのほか。

 症状に応じて、食欲が無いとき、嘔吐がみられるとき、便秘があるときなどに、それらの症状を緩和するお薬があります。注射薬を使うこともあります。検査でカリウム値が低くなっていることがわかれば、これを補う薬もあります。

 

 
DSC00678.jpg 

☆ステージⅣ、尿毒症期に入ると、それまでのように悠長に構えてはいられなくなってきます。正念場です。うまくするとまた以前のような安定した時間を取り戻すこともできます。がんばって治療に専念していただきたい時期です。

 

5)血管を通じた輸液療法。

 水和がうまく取れていない、また電解質や酸―塩基バランスが極端にひどい場合は、急性期と同じくらいの集中した濃厚治療が必要です。毎日点滴が必要になるでしょう。入院して24時間ゆっくりと点滴を流すのがいい場合もあるかもしれません。

 

6)エポジン。

貧血になっている場合、不足しているエリスロポエチンを補う注射薬があります。

 

7)リン吸着薬。

高リン血症があるとき、これを低くするための薬もあります。ステージの早い段階から服用する方がよいという研究もあります。こちらは内服薬ですから、嘔吐が激しいときにはそれをおさめてから処方することになります。いろいろな種類の薬がありますが、当院では白く混濁したシロップ状のお薬を処方しています。高Ca血症にならないように配慮して選んでいます。

 

 

☆慢性腎臓病をおこすきっかけとなったものがある場合は、以上のような一般的な治療の他に、それぞれに応じた治療もあります。

たとえば、タンパク喪失性腎炎、腎症の長期管理には免疫抑制剤などが必要ですし、腎盂腎炎では抗生物質が必要です。

のう胞腎ではふくらみ、おおきくなったのう胞から水を抜く処置が必要でしょう。

 

ここでは慢性腎臓病の一般的な治療についてお伝えしました。

4回連続の慢性腎臓病のおはなし、今回で終了です。

スポンサーサイト

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード