慢性下痢症・その9・病理検査を受けるべき場合

 慢性下痢のお話、9回目です。

 

ステロイド療法に入る前にどうしても病理検査を実施すべきだと思われる場合についてお話します。

 

血液検査で低タンパク血症が認められる場合です。血清アルブミン値が低いとき、「タンパク喪失性腸症」になっているかも知れません。組織検査が直ぐに行われるべきです。

 

「タンパク喪失性腸症」について。

 

慢性重症化した「炎症性腸疾患」IBD低タンパク血症と貧血を伴うようになります。治療にはなかなか困難を極めます。元気や食欲といった全身状態がきわめて不安定になり、かなり積極的な治療を行わないと生命に危険があります。

前述のようなプレドニゾロンまたは免疫抑制剤の使用はもちろんですがこのほかにも症状に応じて、それらをフォローする治療が必要です。

貧血は再生性貧血を示すことが多いのですが、これは消化管潰瘍の存在をほのめかすものです。この貧血に対する治療、輸血ですとか鉄剤の投与もあります。

「コバラミン値」のチェックと、もし不足があれば注射による投与も必要です。

低タンパク血症は悪化すると腹水や胸水、むくみをもたらします。コロイドの輸液が必要な場合もあります。

また「食事反応性下痢」や「抗生物質反応性下痢」と「炎症性腸疾患」の厳密な分類も難しかったり、三つが混在していたりするのですが、これらの疾患に低アレルギー性処方食をお試しいただくのに対し、低アルブミン血症を伴うほど重症化した「炎症性腸疾患」では、低脂肪の特別療法食が選択されます。


DSC09491.jpg 

 

リンパ管拡張症」もタンパク喪失性腸症になる病気です。こちらは腸粘膜の異常ではなく、腸柔毛内のリンパ管の異常です。組織検査で特徴的な所見が見られます。

 
DSC09216.jpg

 

もうひとつ、病理検査を急ぐべき病気があります。「消化器型リンパ腫」です。

 

「消化器型リンパ腫」は慢性腸症とは異なるカテゴリーになるのですが、「炎症性腸疾患」との鑑別は、ことに小リンパ球性のリンパ腫においては、難しいものです。内視鏡ではなく開腹手術によって採材し、病理検査を行った方がよいですし、ぜひそうして、確定診断をつけなければなりません。なぜなら治療が大幅に異なるからです。


今日のお話はここまでです。
かなりこわい状況ですね。ここまできたら「お薬を貰って様子を見たい」なんてのんびり構えていてはいけません。えい、やぁ!っと決断していただき、内視鏡または開腹手術と病理の検査を受けていただきたいと思います。

年の瀬も押し迫ってきました。寒くないよう、お風邪など召しませんよう、おからだをご自愛くださいね。

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