慢性下痢症・11・サプリメント

 慢性下痢のお話おまけの11回目です。

 

まさかここまで長くなるとは。

今回はご質問のありましたサプリメントについての追加です。9回目のステロイド反応性下痢症の際にも少しお話しましたが、もうすこしお話しします。

 

腸に関するサプリと言えば「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」。あわせて「シンバイオティクス」というお話をしました。
「どうもはっきりしないわ」「何なの?」というご質問も多くたまわります。

 

 まず、「プロバイオティクス」についてですが、
「宿主に有益に働く生きた細菌(有用菌)によって構成される添加物」
と定義されています。つまり、わたしたちの身体に対して効果的に働く細菌そのもの、というところですね。代表的なところでは

①ラクトバチルス属に代表される乳酸菌製剤。

②ビフィドバクテリウム属の細菌(ビフィズス菌)製剤。

③バチルス属の細菌(納豆菌)製剤。

④ヨーグルトなど発酵乳。

がこれに当たります。

 

 それから「プレバイオティクス」は、
「大腸に常在する有用菌を増殖させるかあるいは有害な細菌の増殖を抑制することで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分」
です。つまり、菌そのものではないけれど菌の働きを助ける環境をつくるもの、ということになります。ご存知の

①オリゴ糖。

②抵抗性でんぷん。

③食物繊維類。

などがこれに相当します。

 

 菌だけを摂取するよりは菌が効率よく働ける環境因子も同時に摂取した方がよい、とのことから「プロバイオティクス」だけでなく「プレバイオティクス」についても関心が高まっています。

 

 ちなみに、期待する「有益な効果」ですが

①感染防御。

②免疫応答の調整。

③ミネラル類の吸収促進。

④血圧や血糖の調整。

⑤皮膚の健康。

⑥ストレスの緩和。

⑦下痢や便秘など大腸症状の緩和。

これらが主な目的になります。

 

「プロバイオティクス」も「プレバイオティクス」も科学的根拠のある薬ではありません。一部、効果の実証されているものもありますが、これらを科学的に有用であると証明するに足る実験を構成するほうが難儀だろうと思います。その個体により反応は様々だし、自分の身体であれば「なんとなく調子がいいな」という実感も湧きますが、動物を端で見ているだけでは効果があるのかどうかわかりにくいでしょう。

しかし、身体はトータルなもの。腸の表面積の大きさ、GALTシステムの偉大さなどを考えれば、腸の調子を整えることがいかに重要であるのかわかりますから、アトピーやある種の免疫系統の異常がある場合は、これらを摂取するのも悪くはないのではないか、と思います。

 
DSC09592.jpg

さいごに。

 

慢性、というからには、結構だらだらと良くない状態はつづきます。良くなったか、と思うとまた悪くなる。再発、繰り返しもつきものと思います。

この中で大事なのは、食事療法等、治療に対する対応なのではないかと思います。特にひとつの処方食でうまく行かなくても最低2週間は続けてもらうこと、そして、合う食事が見つかるまで、処方食をいくつか「ハシゴ」することも覚悟していただきたいと思います。抗生物質についても同様です。それと、治療中におやつや歯みがきガムなどは与えないでください。あくまでも食事でありながら、これを用いた治療を行っています。

 

また、お薬の投与ですが、習慣になれば飲ませ忘れもなくなると思います。また複数の家族が投薬をする場合は、カレンダーに印を付けてもらうと「家族の誰かが与えたと思う」「だから私はやらなかったけど」「結局誰も薬をのませていなかった」、というすれ違いもなくなると思います。

 

そして、ご面倒ですが、出来れば日記のようなものを付けていただいて、こんなことをしたとき、こんなことがあった日の便の形態はどうだったのか、など記録し、再診日に見せていただくと様子が分かり、ありがたいです。便の写真など撮っていただくのも大変参考になります。

おうちの方のご苦労も大変かとは思いますが、それ以上に慢性の病気と闘っている動物が一番苦しんでいるのだと思います。主役の動物を私たち脇役がうまくサポートしてあげられたら、少しでも良い方向に向かうような気がしてなりません。

 

 

これで慢性下痢症のお話、終了です。お付き合いありがとうございました。

 

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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老犬の下痢について

こんにちは。
ネットで老犬の下痢についての情報をさがしてたところこちらのブログにたどり着きました。
下記の慢性下痢症について詳しい解説は大変参考になりました。

慢性下痢症・その1・ヒストリー
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-681.html
性下痢症・その2・検査
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-682.html
慢性下痢症・その3・寄生虫性下痢
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-681.html
慢性下痢症・その4・膵外分泌不全症
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-684.html
慢性下痢症・その5・腸管免疫システム
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-685.html
慢性下痢症・その6・食事反応性下痢
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-686.html
慢性下痢症・その7・抗生物質反応性下痢
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-687.html
慢性下痢症・その8・ステロイド反応性下痢
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-688.html
慢性下痢症・その9・病理検査を受けるべき場合
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-689.html
慢性下痢症・その10・過敏性腸症候群
ttp://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-690.html

まずうちのワンコについて簡単に説明させてください。
 我が家の老犬(ラブラドール15歳♀避妊済み)が昨年12月から現在3ヶ月ほど原因不明下痢の症状がつづいております。
 かかりつけの獣医によると子宮疾患(避妊済みなのですが)による腎機能低下及び下痢ということで治療をおこなっていましたが一向によくなりません。子宮を取り除くのがベストだが高齢で全身麻酔を伴う手術・検査は危険だということで積極的治療は行なわず、現在は皮下輸液、下痢止め、腸粘膜保護、貧血の薬を処方してもらい自宅療養をおこなってます。IBDの可能性も示唆されましたが上記理由により診断確定まで至っておりません。仮診断でステロイドによる治療も子宮疾患や腎臓に影響があるとかであまり乗り気ではないようです。
初期診断での投薬治療で効果がなかったのでその後2週間の入院治療をして頂いたのですが、入院してから容態が急変してもう年越しは無理だろうと余命宣告された経緯もあり、家族を含めうちのほうでも入院を伴う治療・検査に消極的な状況です。

余命宣告されてそろそろ2ヶ月経ち、下痢の症状はつづいていますが比較的溶体は安定(かなり主観的ですが)してるので治せるのなら治してあげたい欲求がでてきましたところこちらのブログに辿り着いた次第です。
早速、『慢性下痢症・その8・ステロイド反応性下痢ステロイド反応性下痢』のエントリーにある臨床スコアを用いてうちのワンコ診断してみると

1)活動性 2
2)食欲 2
3)嘔吐 0
4)便の質 2
5)排便頻度 3
6)体重減少 3
合計 12点

とIBDの疑いがかなり高いのと、更に最新の血液検査では低たんぱく血症(アルブミン値が2.4(正常値2.7-4.6))と貧血(赤血球数4.02(正常値5.65-8.87)ヘマトクリット値25.8(正常値37.3-61.7))の傾向があります。
このようなケースの場合『慢性下痢症・その9・病理検査を受けるべき場合』のエントリーで早急に病理検査が必要と説明されてますが、これはうちのような老犬に対しても当てはまるものなのでしょうか?(もし当てはまるのであれば獣医や家族をなんとか説得して検査・治療をはじめたいと思っています。)
こんな限られた情報で判断のしようがないとは思いますが参考程度で構いませんので意見をきかせてください。

 また当方、神奈川県在住なのでそちらの病院で診察を受けるのはほぼ無理そうなのですが、メールでの問診や写真などの情報でセカンドオピニオン(もちろん優良で構いません)を受ける仕組みというかそういうことは可能でしょうか?

Re: 老犬の下痢について

>なな様

子宮疾患、腎臓病、貧血に下痢。いろいろ抱えていてご心配のこととお察しします。
確かに慢性の下痢を起こしているようですが、他疾患に併発したもので、原発性の腸疾患ではないご様子ですね。
結論から申し上げますと、内視鏡検査の前にしておいた方がよい検査や治療があるように思われます。

神奈川県にお住まいとのこと、もし、経済的お時間的に許されるのであれば、大学病院をかかりつけの先生にご紹介いただいてはいかがでしょうか。ご心配が晴れるのではないかと存じます。

もし、私でお力になれることがありましたら、無料でさせていただきます。またご連絡くださいませ。
お返事がおそくなり、ごめんなさい。失礼いたします。
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ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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