嘔吐のおはなし・その9

 嘔吐のおはなし、9回目です。

 

胃拡張―捻転症候群についてお話しましょう。

胃拡張―捻転症候群はGDVGastric Dialation Volvulus)と略して言われることも多いかと思います。大型犬種、ことにグレートデンやジャーマンシェパード、アイリッシュセッター、セントバーナード、ドーベルマン等で発生しますが、ダックスフンドやペキニーズなどの小型犬種でも発生がないわけではありません。胸の深い犬では、解剖学的な構造から胃の回転が起こりやすいようです。

DSC05699.jpg 

どのようにして起こるのかというと、

1、早食いによって急に胃が拡張する

2、ついでに飲んだ水によって胃の中でドライフードが大きく膨らむ

3、その後の運動により過換気から空気を呑み込みさらに胃が膨らむ

4、もともと不安定だった胃がねじれる

5、胃が膨らんでガスがあるけれどゲップで出せない

6、膨らむ一方

…といった具合です。

 

とにかく、こうした大型犬の場合、食後急にお腹が膨らんできた、ハアハアと浅い呼吸をしている、顔が青ざめている様子などが見られたのであれば、直ぐに動物病院に駆けつけるべきです。このブログを悠長に読んでいてはいけません。もし深夜であるならば、かかりつけ医を起こそう、と考えるよりも、深夜対応の高度医療センター的な病院に連絡をとり、スピード違反で取り締まられない程度の高速で飛ばし、緊急処置を、場合によっては手術になるわけですが、施していただかないと残念な結果に終わることになります。

 DSC05708.jpg

ちなみに、発症後、生体でどのようなことが続いて起こるのかというと、

7、ねじれた胃は脾臓も巻き込み、胃への血流が途絶える

8、循環不全によるショックやDICを引き起こす

9、袋状の胃が膨らむ限界に達すれば、破裂する

10、食べた物が腹腔内にちらばり腹膜の炎症を誘発する

11、………

9の段階まで手術に踏み切れなかったオーナーさんもいらっしゃいましたが、7以降の予後はきわめて悪いです。

 

皆さんに課せられることはただひとつ。迷わず、早急に処置への同意をしていただくこと。それだけです。

 DSC05703.jpg

レントゲン検査、その他の検査からGDVであると診断した私たちは、ガス排除処置をかけます。それと同時にショック状態であることがほとんどなので、輸液その他の内科的な処置も行います。処置には鎮静処置が必要なことがほとんどです。そしてそれに続いて麻酔下で開腹手術を行い、胃のねじれを戻し、胃を腹壁に固定する手術を実施します。固定は捻転の再発を防ぐのを目的にしています。

 

というこわいお話をしたところで、嘔吐を主症状としていないのかもしれない、と気がつきました。気持ち悪そうなのに、吐けない、という状況ですね。嘔吐をする、しないという判断で病院へ連れて行く、様子を見る、を決めるのは誤りであることを覚えておいてください。とにかくこれは緊急性の高い病気ですので、病院に連れて行くのも、行かれた後も、判断は早急にしてください。

今日はこれでおしまいです。

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