腫瘍・総合6

 「がん」または「肉腫」であることをみなさんにお伝えする時、わたしたちも心が痛みます。これまで愛犬愛猫と一緒に過ごしてきた時間、楽しい思い出もたくさんお持ちだと思いますし、あなたの体験から導かれることもおありだろうと想像するからです。

 

あなたの愛犬愛猫が悪性の「がん」だとわかったとき、前回ご提示したような治療法のほかにもあなたが選ぶことのできる別の選択肢があります。

積極的に「腫瘍」に立ち向かい、「腫瘍」を無くすようにしていく治療ではなく、「腫瘍」があってもそれによって動物が苦しいおもいをしないよう回避させる治療です。つまり、動物のQOLにまとを絞って行う治療です。もちろん前回おはなしした治療を選択する場合でも、①痛み、②嘔吐、③食欲不振をコントロールするように努めますのでご心配を重ねることがないようお願いします。

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ただ、このような「腫瘍には手を出さない治療法」をお話しすると、「見守る治療」であり、「何もしない治療」だと誤解されることがあります。「緩和療法」とはいえ、必要な栄養が取れなくなった場合に消化管にチューブを設置したり、あるいはどうしても確保が難しくなった自然の尿路に別のバイパスルートを作る、などの処置のために外科的な介入が必要なこともあります。また、そこまでではなくても、点滴用の血管針をつなぐこと、一般の尿路にチューブを導入することなど、内科の範囲でもいわゆる「処置」に入る内容のこともあります。生命を脅かす怖れのある嘔吐には、水分の補給や、電解質や身体のpH異常を補正するために、点滴治療や制吐剤は不可欠ですし、尿路の確保も生命存続のためには無くてはならない排泄のルートです。末期になって機能しなくなった肺の代わりに人工装置を繋ぐ気管チューブは「延命」であっても、点滴のためのチューブは、動物の身体を「苦痛から開放するためのもの」であって、決して「苦しさを長引かせるもの」ではありません。緩和療法というと、「なにもしないこと」のように思われている方もいらっしゃいますが、苦しむ動物を前にして何もしないのは「ネグレクト」という動物虐待行為にほかなりません。最後まで必要な栄養が取れるようにしてあげることも大事なことです。

 

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また、内科的に使用する薬の中には、痛みを取り除くために使用する鎮痛剤のように科学的な根拠のあるものも、ホメオパシーやハーブ、生薬などのように裏づけされた科学的根拠に乏しいものもあります。何を信じ、どのような代替療法を行うのかについては個人の選択の自由がありますが、効果に対して疑問のあるサプリメントやドリンクについては、与えられる動物の負担にならないようなものにとどめておいて欲しいと思います。

 

 

積極的な治療には、それを行うのにふさわしい時期があります。緩和的治療はいつでも始められます。むしろいつでも実施されなければいけないことでしょう。なにが正しい治療なのかは、やはり家族で話し合い、みんなが納得できる方法がみつかるといいですね。

 

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