フィラリア予防薬はいつまでのませればよいのか

 暑い夏がやっと終わり、待ち遠しかった秋が来ましたが、この秋は短く、すぐに冬が来そうな感じです。こんなに涼しく、というか寒く感じられる日が続くと、フィラリア予防の薬は忘れられそうです。「まだ、予防薬は飲ませないとだめかい?」という質問が来ました。

フィラリア投薬はいつまで続けるのが良いのでしょうか。今日はそのあたりのお話をします。

 

そもそもフィラリアは「フィラリア感染子虫」を体内にもった「蚊」に刺されることで、感染するもの。「蚊」に刺されなければ大丈夫です。でも、私たちは家の中に居ても、ぶぅーん、と飛んできた蚊に刺されてしまうのですから、これを避けるのはなかなか難しい。夕方の散歩は蚊の活動が活発になる時刻。それにぴったり重なるように出かけ、しかも犬は草むらが大好きです。屋外の木もやの下に犬舎があるのなら、日がな一日、犬の上を蚊の大群が飛び交っていても不思議ではありません。「血を吸うのは雌の蚊だけだろ、それも、交尾直後に限定されているんだろー」、なんて言っても、それがなかなかの確率で刺され、吸血されます。

 

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そんなわけで、フィラリア予防期間というのは「蚊」の活動期間に合わせて決まってくるものです。日本全国で投与期間が異なるのはそのためです。蚊の活動期間はどうかというと、結構低温でも活動しています。「蚊」が活動するのは夏だけ、と思っていると大間違いで、数値で言うと気温15℃。これが蚊の吸血開始気温です。

 

一口に15℃、といっても分かりにくいかもしれません。それで、気温とそれにふさわしい服装の関係を記してみます。

蚊が活発に活動する温度は26℃から30℃です。実はそれ以上だと蚊もじっとしています。だから夏の日中は意外と蚊に刺されにくく、夕方の方が狙われやすいのです。で、服装ですが、私たちは間違いなく半袖1枚です。

20℃から25℃くらいですと長袖1枚でしょう。もちろん個人差がありますので、20℃を超えれば半袖、という方もいらっしゃるかもしれません。

16℃から20℃くらいの気温、ちょうど今くらいの時期の平均的な最高気温に相当するのかもしれません。これだと半袖に薄手の上着を羽織りたくなる温度です。

そしてボーダーラインともいえる15℃を下回ると暖かさを感じられるジャケットが欲しくなります。春だと、まだスプリングコートを手放したくないな、という温度です。寒がりさんだと暖房器具に手を伸ばす温度ですし、猫なら丸くなって寝る温度です。

 

さて、15℃。これは薄手の上着を羽織るだけでは寒いよね、もう一枚欲しいよね、に相当するわけです。とすると、半袖に上着1枚羽織れば気分良く過ごせる温度であるうちは蚊に刺されるのです。もちろん15℃を下回って、暖房をつけたらすぐにそれ以上に温度は上昇するわけですから、屋内であればその時点でまた蚊に活動のチャンスを与えてしまうことになりますね。

 

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そしてもう一点。

フィラリアの予防薬はフィラリアの感染終了後1カ月に投与することになっています。つまり、「蚊」に刺されて、感染子虫(L3)が体内に入ってきますが、入ってきてすぐの虫ではなく、1ヶ月くらい身体の中を動きまわり、もうひと段階成長した虫(L4)を殺すのがフィラリア予防薬の得意とするところです。1か月も後だなんて、心配!という方もいらっしゃるかもしれません。大丈夫。まだこの段階では虫は心臓内に到達していません。到達する前の大人になりかけの虫です。ちなみに、L4から大人の虫(L5)になるまでに50日~60日かかります。残念なことに心臓内に入った成虫(L5)は簡単に取り出すことはできません。だからなんとしても身体の中を動いている間のL4の段階で死んでもらわないといけないのです。それが1カ月ごと、という投薬間隔に反映されます。前回の投与日から2カ月が過ぎてしまった!という場合、ちょうど殺しやすい段階の虫を通り越してしまいます。ですから、この1カ月ごと、という投与間隔はぜひとも守っていただきたいのです。また、もし忘れてしまったような場合も、次の投与日まで待たずに、気がついた日に投与してください。

 

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というわけで、理論です。

今年最後に気温が15℃を上回った日の1ヶ月後。この日がフィラリア予防薬の最終投与日になります。西尾市あたりでは12月上旬から中旬、というのが例年の投薬最終日になりますが、いつまでも暖かいので、確実なのはクリスマスころかと思います。

今月のフィラリア予防薬、忘れていませんか。もうすこし、お薬は続けてください。

「あー、面倒くさい」といわれるあなたは、注射薬を選択されると良いでしょう。病院に連れてくるだけで後は何もしなくて大丈夫です。

 

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おまけ>>

フィラリアは脱皮しながら大きくなっていく虫で、L1からL5に分類されます。L1は成虫が産んだ子虫でミクロフィラリアと呼ばれます。犬の血液中に現れます。大きさは300ミクロンです。L1は蚊に刺された時に犬の血液中から蚊の体内へと住まいを変えます。その後、蚊の体内で脱皮して大きくなっていき、L1⇒L2⇒L3となります。L3は感染子虫と呼ばれるもので、蚊から再び犬の体内に入ります。そして犬の身体の中をめぐる間にさらに成長を続け、L3⇒L4⇒L5となります。

L5は完全な成虫で犬の心臓内(正確には肺動脈内)に入り込みます。大きさはオス虫で20センチメートル強、メス虫ではそれよりさらに一回り大きい30センチメートル弱くらいの長さがあります。細い素麺状の虫ですが、くるくるっと丸まって狭い心腔内に入っています。

 

フィラリア成虫は大型犬に感染する虫も小型犬に感染する虫も、もちろん同じ大きさです。心臓の大きさは「握りこぶし」くらいの大きさと言われます。小さなチワワやトイプードルの足先を見てください。この足をグーっと握らせた大きさ、しかもその中に素麺を1~2本入れて見ることを想像してみてください。そのような状態で、血液が全身を回るように心臓が働くでしょうか。室内の小型犬だから予防しなくても大丈夫、ということにはならないし、小さければなおさらのこと、フィラリアに心臓を占拠されてはまずいな、ということがお分かりになると思います。

 

というところで、大変長くなりました。今日はこんなところでおしまいです。

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