犬の子宮蓄膿症・1

 犬の子宮蓄膿症について今週から4回連続でお話しします。

1.初めは犬の発情について。偽妊娠、乳腺の腫れについてもかるくふれておきます。

2.次が子宮蓄膿症の発生するしくみについて。

3.それからこの病気の臨床兆候と診断、治療について。

4.特別な治療として、内科的治療について。

以上の内容です。 

 

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それではまず犬の発情について。

雌犬の発情には脳下垂体や視床下部、卵巣などから分泌されるホルモンが関わっています。LHLuteinizing hormone:卵巣形成ホルモン)、FSHFollicle stimulating hormone:卵胞刺激ホルモン)、プロジェステロン、エストロジェンはお互いに関与していて、どれかの量が増え、どれかの量が減少する、という形で発情の周期をつくっています。一般にみなさんが「発情」というのは「発情前期」と「発情期」の両方を含んでいます。「発情前期」では外陰部が腫れて、陰部からの出血(正確には血のような分泌物です)がみられます。犬によっては陰部を気にして盛んに舐めています。この時期が終わるころ、雄を受け入れる体勢が出来てきます。続いて訪れる「発情期」には、お尻のあたりを刺激すると尻尾を横にそらし陰部が見えやすくなるような交尾許容という動作がみられるようになります。このころには分泌物の色合いが薄くなります。発情前期は平均9日前後、発情期は平均9日前後といわれています。

 

このあと来るのが「発情休止期」です。雄を許容しなくなるときからが始まりですけれど、はっきりした境目のころは分かりません。交尾すると「妊娠」し「分娩」するわけですが、「偽妊娠」に入ることもあります。すべてこの「発情休止期」に起こることです。約2カ月続きます。

 その後「無発情期」に入ります。平均すると45カ月続きます。


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「分断発情」というのがあります。いわゆる発情周期は6カ月ごとに来ることが知られていますが、発情期の直前になって突然発情期が止まってしまい、そのあと、24週間くらいするとまた発情前期が訪れます。交配適期を前に急に発情が終わってしまう、この現象を「あいざかり」というブリーダーさんもいます。このあと正常な周期が戻るので心配はいりません。

 

「発情期がだらだらと長く続く」のは卵巣機能に異常があります。卵巣のう腫や卵巣腫瘍などが心配ですからこちらの場合は動物病院で診察を受けてください。

 

そのほか、発情間隔が延長したり短縮したりすることもあります。不妊につながることが多いようです。

 

 

「偽妊娠」は妊娠しなかったものの、発情休止期のおわりごろに妊娠しているかのような様子が身体にみられることをいいます。こころなしかお腹が大きくなったように見えたり、お乳が膨らんで乳汁が分泌されます。小さな縫いぐるみを抱えて育児行為をすることもあります。たいていは23週間で消失します。犬では正常な反応です。

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追記>

乳房うっ積への対応について

たいていの飼い主さんは、愛犬のお乳が腫れてくると湿布をしたり、マッサージしたり、搾乳したりしてなんとか腫れを引かせようとするようです。また犬の方も気にしてさかんに舐めるようです。これらのことをすると、乳腺に「授乳をしている」のと同じ刺激が伝わるため、さらにお乳をつくり次の授乳に備えるようホルモン(プロラクチン)が働くことになります。乳腺の腫れが気になるかもしれませんが、こうしたことはやめてください。出来れば犬にも舐めさせないようにカラーをつけると良いでしょう。食事や飲水の制限をすると自然に引いていくこともあります。しかし乳房が腫れて熱を持っていたり、乳腺が赤や紫に色づいていたり、硬くなっていたり、犬が痛みを感じているようならば乳腺炎をおこしている可能性があります。また乳腺腫瘍でもこのような症状を表わすことがありますので、注意深く観察し、場合によっては動物病院へいらしてください。

 

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