肝臓のおしごと

今日は肝臓のお仕事についてお話しします。

 


はじめに
<身体の中に占める肝臓の位置について>

肝臓は胸と腹と仕切る横隔膜に接しているところにあります。胃を包み込むような形でバナナの房のようにいくつかの葉に分かれていますが、その葉の間から胆のうをのぞき見ることができます。胆のうは肝臓で作られた胆汁を入れておく袋のような組織で、胆汁を十二指腸に排泄しています。横隔膜と反対に接したところには小腸が、また、胃の隣には脾臓があります。胃や小腸で栄養を吸収した血管、脾臓を通過した血管は(門脈といいます)、肝臓に栄養を送る動脈(固有肝動脈といいます。大動脈から分岐した太い血管です)とともに肝臓に入ります。肝臓への血管の入り口は「肝門」と呼ばれています。どちらも太い血管ですが、肝臓の中に入り枝分かれし、すべての肝細胞に行きわたるほどに、細かくなっていきます。送電線で送られてきた電線が各家庭につながれていくのと同じようです。門脈を流れている血液は、全身を回る血液とは血液中に含まれるものが少し違います。門脈は胃、小腸、脾臓から肝臓までを繋げている血管です。

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そして本題
<肝臓の機能について>

小腸から流れてきた血液には大量の栄養素が入っています。例えば、食後はブドウ糖がたくさん含まれているわけですが、循環している血液の中にブドウ糖が十分にあればすぐに循環血液の中に放出する必要はないので肝細胞の中にキープすることになります。ブドウ糖がめいっぱいある状態ではそのまま保存するよりはぎゅぎゅっとコンパクトな形に変えて保管する方が効率的です。そこで小さいけれども熱量があるグリコーゲンの形にして肝臓の中にしまいます。これが「栄養素の合成と貯蔵機能」です。それからお腹が空いたけれど食べられなくてブドウ糖の供給はないようなとき、肝臓の中に蓄えられていたグリコーゲンを分解しブドウ糖にして全身をめぐる血液に回します。これが「栄養素の分解機能」です。大きなタンカーで運ばれてきたものを港で一時保管し、市場に大量に出回っていれば不足しそうになるまでこちらで待機しているような感じです。

 

栄養素は糖質だけではありません。たんぱく質もアミノ酸の形で小腸から吸収され肝臓に運ばれます。ここで自分オリジナルのたんぱく質に作り替えられます。牛や豚、鶏の肉を食べても最後は自分の身体になります。これが「たんぱく合成作用」です。ここで特に重要なたんぱく質はアルブミンです。「アルブミンの合成」がされないと血液のボリュームを保てなくなってしまいます。また血液を固まらせる仕事を行うフィブリノーゲン、血液をさらさら流れるようにするヘパリンなどのたんぱく質の合成も肝臓で行われます。

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さらに、門脈のなかには栄養素以外の様々なものが入ってきていて、その中には全身をめぐる循環血液の中にあっては困る物質も含まれています。そこで身体の中を巡らしてはいけないものは肝臓の中で無毒化することになります。これが「解毒作用」です。薬やアルコールも毒物と同じように「解毒化」を受ける物質です。港での検疫で有害なものが見つかれば倉庫に併設された化学工場で問題の無いものにつくり変えるような作業をしていることになります。

 

生きて細胞が働いている間はたんぱく質が代謝されてアンモニアがつくられるのですが、身体に有害なアンモニアを比較的害の少ない尿素につくり変えるのも肝臓の仕事です。尿素を排泄するのは腎臓ですが、尿素をつくるのは肝臓です。アンモニアが尿素につくり変わる化学のしくみ(化学反応系)が尿素回路とかオルニチン回路と呼ばれているものです。「尿素生成機能」です。

 

血液細胞である赤血球は寿命がくると脾臓で壊されます。赤血球が壊れると構成要素だったヘモグロビンが出てきます。ヘモグロビンもこの門脈を流れて肝臓に運ばれます。ヘモグロビンはビリルビンに変化しますが、肝臓の中でビリルビンはコレステロールと結びついて胆汁になります。コレステロールも肝臓の中でつくられています。肝臓の「胆汁産生作用」です。胆汁は脂肪分解を助ける消化液です。脂肪を乳化させるもので、セパレートタイプのドレッシングをとろとろのマヨネーズのようにさせる物質だと理解していただければよいかと思います。

 

このような合成や分解などの化学的反応を起こすときには熱が発生します。「発熱機能」です。肝臓は体温を維持する働きも担っています。

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実にさまざまな仕事をしているのでした。

このようにたくさんの仕事をする肝臓なので、肝臓に問題が起こった「肝リピドーシス」になると猫さんはとても苦しみます。

次回は「猫の肝リピドーシス」についてお話します。

    
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