椎間板ヘルニア・1

脊椎(せきつい)や脊髄(せきずい)に問題をおこす病気についてお話します。

「脊椎や脊髄に問題をおこす病気」というと難しそうな感じがしますが、平たく言うと「背骨(せぼね)と背骨の中を走る神経の病気」です。

はじめは最も頻繁にみられる「椎間板ヘルニア」を中心にお話します。

 

背骨の中を通る神経、脊髄は脳から繋がっていて、身体を動かすことだけでなく、痛いとか痒い、熱い、冷たいなどの感覚を脳に伝える働きもしています。また神経は四肢だけでなく、内臓の方にも分布しています。例えば腰に近いほうの神経は、膀胱や肛門部にも繋がっていて、意識して尿や便をためたり出したりすることができます。随意コントロールです。

椎骨はたくさんあって、首の部分から順に頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾椎とつながっています。これらの骨自体の問題や椎骨と椎骨の間にある椎間板の問題が起こると、椎骨の中を通過する神経や椎骨の間から出ている神経にも問題をおこします。

 

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狂犬病の集合注射会場で「椎間板ヘルニアという診断を受けたんだけど、手術はお金がかかるし、治療を諦めてしまった」というお話を聞きしました。とても残念に思いました。椎間板ヘルニアは、ただ単に歩けなくなるだけでなく、下半身の麻痺によって排便や排尿にも支障をきたします。これは愛犬のQOLを低下させるだけでなく、二次的に別の病気を発症させますし、一緒に暮らす家族にもさまざまな負担をかけることになります。治療方法は外科手術だけに限られたものではありません。内科療法でも反応する場合もあります。簡単にあきらめないで欲しいと思いました。

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「椎間板ヘルニア」はわりと知名度の高い病名です。先生によっては初期の、軽い症状があるだけの場合、あまり飼い主さんを驚かさないように「ギックリ腰」というようにぼかしてお伝えされていることがあるかもしれません。しかし、椎間板ヘルニアのⅠ型(ハンセンⅠ型)は、そもそも生まれつき「軟骨異栄養症」の素因(遺伝子)をもって生まれてきた犬種(軟骨異栄養犬種)で発症しやすくなっているため、二度、三度と違う部位でも発症することが多いため、単純に「ギックリ腰」では片付けられない病気です。


軟骨異栄養犬種にはどんな犬が入るのかといいますと、ミニチュアダックス、ウェルシュコーギー、フレンチブルドッグ、トイプードル、シーズー、パピヨン、チワワ、ヨークシャーテリア、ビーグル、ペキニーズ、ラサアプソ、コッカスパニエル、パグ、バセットハウンド、ポメラニアン、キャバリアキングチャールス、ジャックラッセルなどです。もう、日本にいる人気犬種のほとんどといってもいいくらいです。ことにミニダックスは40%~50%でこの発症しやすい遺伝子を持つとも言われていて、再発率も非常に高くなっています。

 
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軟骨異栄養症について、補足しておきます。

骨が成長するのは骨の端にある成長軟骨の部分です。ここにある軟骨細胞が成長ホルモンその他の影響により細胞分裂を繰り返して増え、増殖した軟骨細胞が成熟して骨に変化します。この部分がうまく骨になれないのが軟骨異栄養症です。

 

骨が一番成長する時期は生後6カ月前後から2歳ころになるのですが、実はすでにこの時期から椎間板の変性は始まっていて、椎間板ヘルニアはまだ若い2歳から7歳のころに発症のピークを迎えると言われています。椎間板は椎骨と椎骨の間にあって、クッションの役割をしているわけですが、この椎間板が水分を失い弾力性を失ってしまうので、衝撃を吸収することができなくなってしまうのです。

ちなみに軟骨が存在する部位は椎間板だけではありません。四肢の骨でも異常が発生します。後ろ足、すねの骨の内側の成長が止まり外側だけ成長すると骨は大きく彎曲してしまいます。これがダックスに多い「踁骨異形成症」です。

 

今日は椎間板ヘルニアの概要をお話ししました。

    
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