心臓病のお話・1回目

 心臓病についてお話しする機会が少なかったので、今回からしばらく、心臓のお話をしようかと思います。

 

1、正常な血液の流れについて。

心拍数とか心雑音とか脈拍、心臓病と心不全といった言葉の説明。

2、心臓病がある場合の血液の流れ(病態生理といいます)

  僧帽弁閉鎖不全症を例に、血液の流れが変わるとどのようなことが起こるのかをお話しします。

3、飼育してくださる方が見つけやすい心臓病の症状。

ここはできるだけ詳しくお話ししたいと思います。

4、動物病院で心臓病を診断していくときの検査について。

5、主な心臓病について。

僧帽弁閉鎖不全症については数回費やすことになりそうです。

心筋症。先天性の心臓病。そのほか。

 

こんな予定にしています。

長くなりそうですが、お付き合い願えればと思います。

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 ↑今、病院ではこんなポスターを張っています。8月中の予定です。


はじめに

人の病院で「循環器科」というのが心血管系、心臓と血管を診る診療科です。心臓と血管はつながっているのでいっしょに扱われます。

 

 

「血液の流れ、体循環と肺循環」

心臓の機能は血液を送ることです。静脈系といわれるのは二酸化炭素を多く含んだ血液が戻ってくる血液の通り道で、動脈系といわれるのは酸素を多く含んだ血液が全身に送り出される行きの道になります。これは全身を回る血液の経路ですので「体循環」と呼んでいます。

心臓と肺はじかに連絡のある臓器です。心臓には4つの区分があります。全身から帰ってきた血液はまず心臓の右側にある部屋(右心房)に入り、そこから右心室を経由して肺に入ります。右心室から肺へ行く血液は全身から帰ってきたばかりですから二酸化炭素を多く含む静脈血です。しかし心臓から出ていく血管には「動脈」という名前が付けられますので、心臓から出て肺へ向かう「肺動脈」は静脈血が流れています。肺でガス交換され、酸素を多く含んだ血液は心臓の左側にある部屋(左心房)に入り、そこから左心室を経由して全身に送られます。肺から心臓へ入る血管は「肺静脈」という名前ですが、酸素を多く含む動脈血が流れています。この心臓と肺の間の血液の流れを「肺循環」といいます。

 

 「心拍数」

心臓の拍動は「洞房結節」といわれる部分で発生するわずかな電流から始まります。はじめは単なるぴくぴくっとした心筋の収縮なわけですが、この刺激が途切れなく心臓全体にうまく伝わり、心筋が全体で連動することでぴくぴくっとした電気信号が「ぎゅーっ・ぱっ」という心臓全体の収縮と弛緩になり、血液を送り出すポンプの仕事をするようになります。

安静時、健康な犬では心拍動は呼吸によってわずかに不規則になります。吸気時に早まり、呼気時にゆっくりになります。洞不整脈とか呼吸性不整脈といっているもので心臓が健康な印です。深刻な心臓病になるとこの不整脈がなくなってしまいます。

犬で安静時の心拍数は60回から160回くらい。猫では200回以上もあります。

 

「脈拍」

脈拍は身体検査で身体の一部を触って指先で感じることができる動脈の拍動です。たいていは大腿動脈で感じ取ります。血圧が下がっていたり、動脈の上の脂肪組織が厚かったりすると、触れにくく、測定できないこともあります。心拍数と同じ数だけ感じられるはずです。

 

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「心音」

元気な心臓では、左心室が弛緩したときに左心房の血液が僧帽弁を通って左心室に流入します。左心室がほぼ満杯になったとき、左心房から左心室に追加の血液が送られ、それから左心室が収縮し、大動脈弁を通って大動脈へ血液が押し出されます。心臓の動きはこのような心筋が弛緩する拡張期(心室内に血液が入ってくる時)と、心筋が押し縮められる収縮期(心室から血液が送り出される時)の二つの時相を持ちます。心臓の音は「どっ・くん」とか「ぶー・たっ」とか、2つ聞かれるわけですが、最初の音は心臓の左側の部屋を仕切る僧帽弁と右側の部屋を仕切る三尖弁が閉じる音で、後の音は大動脈弁と肺動脈弁が閉じる音です。

 

 「心雑音」

心雑音は心臓内の振動です。血流の乱れや弁の震えなどが二つの心音以外の音になって聞こえてきます。心雑音は強さがどのくらいなのか、一番大きく聞こえる場所はどの部位で聴診した場合なのか、聞こえるタイミングは収縮期なのか拡張期なのかを問題にします。

 

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「不整脈」

心臓の拍動が不自然にリズミカルでないことで、不整脈があるからといって必ずしも心臓の病気が重篤であるとは限らないのですが、中には突然死につながるものもあります。

 

 「心臓病」

心臓の何らかの異常です。先天性の異常や、身体構造の異常、機能の異常など。心血管系の病気は目に見えません。通常そのままにしておいて治るものではなく、徐々に悪化していき、ついには死に至ります。

 

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「心機能低下」

心臓の収縮能力が低下している状態です。心臓の能力が低下していても、それによる物理的な変化をさまざまな方法で心機能を上げようと身体が働くので症状が現れません。

 

 「心不全」

心臓がうまく働かない(機能不全)ことを心不全といいます。心臓がうまく働かないと十分な血液循環が確保されないので、さまざまな問題が引き起こされます。そのような状態の症候群が心不全です。身体の各組織が働くために必要な適正量の酸素を届けることができない状態です。激しい運動をした時、中くらいの運動をした時、軽い運動をしただけで、安静にしていても、という順に心不全の症状が出現し、そのまま重症度につながっています。例えば運動時の失神なのか、静かにしていても目が回ったように急にくしゃんと倒れこむのかという差があります。

 

 「うっ血性心不全」

血液が心臓血管系以外の組織に蓄積し、うっ血した臓器が正常に機能しなくなったり、うっ血によって臓器が腫れたりします。このような状態がうっ血性心不全です。

 

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今日は心臓病のお話しの導入、ということで、耳にするけれども、はっきりとわかっていなかった心臓病にまつわる言葉について説明しました。

 

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