心臓病のお話・4回目・検査

 心臓病のお話、4回目は病院で行う検査についてです。

以前も触れましたが、私たちヒトの心臓病、ある程度の年齢になってからのものは狭心症や心筋梗塞が主なものです。これは心臓に栄養を供給する血管が狭くなったり、閉鎖したりすることが問題になる病気です。心臓を冠のようにまぁるくとり囲む冠状動脈を評価するための検査になります。一方、犬の場合は心臓の周りの血管ではなく、心臓内部の部屋を仕切る弁に問題をおこすことが主なので、心臓の検査も共通するものもありますが少々違ってきます。血管造影は日常的な検査ではありません。また検査からそのままカテーテル手術などへ進むことは無いので、構えることなく、検査に応じていただけるとありがたいです。

 

IMGP4911.jpg 

<身体検査>

まずは身体検査からはじまります。

・体重測定をします。BCS(ボディコンディショニングスコア)を判断します。

肥満なのか、太り気味なのか、ちょうど良いのか、痩せてきているのか判断します。長期に渡って心臓に問題をかかえている犬では徐々に痩せてきてしまいます。ことに右心系の心疾患があると痩せが起こりやすいです。「心臓悪液質」のためです。

体重だけで以前と変化が無いと判断するのは早計です。身体そのものは痩せてきているのに、貯留した腹水や胸水のために重さが増している場合もあります。

脱水のために体重が減少することもあります。

*高齢になるとシニア向けのフードを選択することが多いのですが、摂取エネルギーが不足すると病気と闘う力も無くなってしまいます。しっかり栄養をとらせることが大切です。太りすぎは心臓の周りにも脂肪がまいてしまうので好ましくありませんが、少々のことであれば太り気味の体型の犬の方が予後は良いようです。

 

・お腹周りのサイズを観察します。

腹水がたまってきているとお腹がぷっくり膨れてきます。そのほかの病気でも腫れっぽくなることはありますのでチェックします。

 

・体温測定をします。

心不全が進むと体温維持が難しくなり、ことに冬には低体温になることがあります。また、深部体温はあっても、四肢先や耳などの末端部分が冷たいこともあります。

 

・心拍数を数えます。

成犬の心拍数は1分間に60180回で、これより少ない場合は「徐脈」、多い場合は「頻脈」と言っています。診察までに緊張があり、待合室に居る時点ですでに180回を超えている場合もしばしばあります。いつでも240回を超えるような場合は心臓に心配があります。だいたい140回~150回くらいの間に入っていると安心です。

 

・呼吸数を数えます。

安静時の呼吸数が1分間に30回以上になると異常と判断します。病院では緊張もあるため、たいていは30回を超えます。呼吸数が高くなるのは体温が高い時や不安や興奮、痛みのあるとき、また呼吸器の病気でも高くなります。呼吸数を数えるのに、苦しそうではないかどうか、呼吸様相も一緒にみていきます。


 IMGP4916.jpg

・水和状態をみます。

身体に含まれる水分が通常に比べ少なくないか、多くはないかをみるのが「水和状態の観察」です。
脱水は水分の不足です。脱水が無いかどうか、背中の皮膚をつまんでテントを作り、手を離してからこのテント状になった皮膚が元の位置に帰るまでの様子を観察します。つまんだ状態がずっと続いているのは脱水がある印です。
通常よりも多くの水分があるときは身体がむくんできます。むくみが無いかどうか、おもに後ろ足のかかとのあたりの太さを見たり、触って、軽く圧迫して確認してみます。

 

・粘膜の色をチェックします。

歯ぐきや舌の色の赤みをみます。呼吸がうまくいかず、めぐっている血液に酸素が十分入っていない場合は薄いピンク色や紫がかった色になっています。こんな状態は「チアノーゼ」です。

 

・末梢循環(身体の心臓から離れているところの血のめぐり)をみます。

歯ぐきの粘膜をそっと押して離すと、一瞬白くなった粘膜にまた血の気がさしてきてピンク色に戻ります。この戻るまでの時間が短ければ問題はありません。戻りが遅いのは循環が良くない印です。

 

・呼吸音を聴診します。

空気の出入りの音、ひゅーひゅーのほかにグーグー、とかブツブツ、パチパチなど肺の状態によって聞こえる音が違ってくるので、胸のあちこちに聴診器をあてて音を聞きます。

 

・心音を聴診します

一番強く聞こえてくるのはどこの位置に聴診器を置いたときか、心雑音の強さはどのレベルか、雑音が聞かれるのはどのタイミングなのかを判断しながら聞きます。

専門医はこの音だけで心臓病の種類を判断出来てしまう、とも言われていますが、その技は備わっておりません。ゆっくり静かに聴いています。

いっしょにリズムも聞いています。同じ調律で聞かれるのか、リズムが乱れているのか乱れ方に規則性があるのか無いのかなども聞き取っています。

*熱心に聴いている時はお家の方がお話しをしてくれても、身体の音しかきこえません。聴診器をあてているときはお返事ができないのでご了承ください。

 

・脈の強さをみます。

体表面にあらわれた太い血管に触れて、圧の強さを判断することができます。頚静脈では心臓にもどっていく血流の流れを読み取ることもできます。

 

 

身体検査が済むと、この後は機械を使った検査になります。今日は長くなったので、機械を使った心臓の検査については次回に回すことにします。

 

スポンサーサイト

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード