心臓病のお話・5回目・検査

心臓病のお話、5回目です。身体検査のほかの心臓の検査についてお話します。

 

<血圧の検査>

腕や尻尾の付け根にカフを巻いて血圧を測ります。なかなか静かにしてくれないと反応しないこともあります。ヒトと同じように「白衣性高血圧症」もあります。

静かなところで、ちょっと落ち着かせてから測定します。数回測定し、安定した結果が出た場合だけを評価しています。

犬の正常血圧は報告によって幅があります。ほとんどはヒトより高い値を示します。拡張期よりは収縮期の数値で判断します。収縮期血圧が150mmHg180mmHgあると高血圧症であると判断しています。

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<心電図検査>

心臓が拍動するときに電気信号が流れます。これを身体の各位置に置いた電位測定ポイントに届く時間と強さから、一定の波形を描くのか、特殊な形になっているのかを読み取ります。電気の伝導に問題は無いのか、心臓の大きさに変化があるのか、拍動数やリズムはどうかなどをみることができます。

心筋症や心房細動、房室ブロックなどの場合には特に有用な検査です。

 

<胸部レントゲン検査>

レントゲン検査のうち、一般に行われるのは単純レントゲン検査です。心臓の陰影の大きさや形から心臓のどの部分に拡張があるのかをみます。また肺の透過度で十分空気を含んでいるのかどうか、気管支に炎症やそのほかの問題がないのかどうか、胸水の溜まりはないのかをみていきます。

時間の経過を追って撮影していくと、治療に対する反応や、心臓病の進行の様子なども判断することができます。横になって寝たときの姿勢、仰向け、うつ伏せなどの異なる体位で複数枚撮影します。

重なった影を映し出し、それを評価するので「感度が高いか」と言われると高くは無く、特異的でもありませんが、一定の評価の基準となることができます。

心臓の大きさを評価する方法があります。胸郭の大きさに対する心臓の陰影の大きさをみるものです。「心胸郭比法」(CTR法)といいます。犬種ごとに胸郭の形が違うことや、呼吸の時相で評価が変わってしまう(吸気時と呼気時で胸郭の大きさに変化ができてしまいます)ので、評価が同じ時でも変わってしまうという欠点があります。

もうひとつの方法があります。椎骨の長さと心臓陰影の大きさを計測し、心臓のサイズを椎骨の長さで数値化して評価するものです。「VHS法」と言っています。近年はこちらで判断するのが主流です。急に心臓が大きくなる時期があり、心臓の検査を定期的にしていると前回比を評価することができます。

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<心臓超音波検査>

心エコー検査とも呼ばれます。エコーは動いている心臓の様子を画像にして見ることができ、心臓の検査にとても有用な検査です。動物に痛みを感じさせることは無く、心臓の形態(心拡大や心肥大などがあるかどうかその他)や血液の流れの様子(逆流があるかどうかその他)をリアルタイムで観察することができます。
私どもでは心臓の形と動き、弁の形や血液の逆流、心臓を圧迫する何かがないかどうかなどの観察を行いますが、循環器の専門の先生による精密な検査では、将来心不全を発症するリスクがどのくらいあるのかや腱索が切れた場合の生命予後をある程度予測するという、さらに詳しい情報も得られるようになっています。近年、レントゲンの検査はさておいても、心エコーの検査を優先的に行う先生方もいらっしゃいます。

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<血液検査>

心臓とその他の大きな臓器はそれぞれ太い血管でつながっています。特に腎臓は循環状態の影響を受けやすい臓器です。高窒素血症の有無や電解質のバランスなどをみるために血液検査も必要な検査の一つです。

 

<心臓バイオマーカーの検査>

心臓が大きく拡張し、心筋の伸びが増大すると、心筋壁からホルモンが放出されます。心房からはANPAtrial Natriuretic Petide・心房性ナトリウムペプチド)が、心室からはBNPBrain Nariuretic Peptide・脳性ナトリウムペプチド)が出てきます。検査では安定性の問題から、放出されたままの物質ではなく安定性の良い形になっているANPNT-proBNPN末端プロ脳性ナトリウムペプチド)を測定に利用します。

ANPは主に左心房に強く圧力がかかっているかどうかの評価に、NT-proBNPは心室にたくさんの血液が流れ込んでいて負担になっていないかどうかをみる指標として用いられています。重症度と数値は相関関係にあります。悪くなると数値が高くなり、状態が良くなると低値に戻ります。重症度を測る指標になります。咳をしているのだけれど、呼吸器が悪いのか心臓が悪いのか判断がつかない、という場合にも用いることができます。

またcTnⅠ(Cardiac Troponin Ⅰ・心筋トロポニンⅠ)もバイオマーカーとして用いられます。

いずれも比較的新しい検査です。血液の中の成分を調べる検査なので、採血をするだけでそれ以上の動物の負担はありません。

 

 

今回は心臓病の検査についてお話しました。

次回は代表的な心臓病である僧帽弁閉鎖不全症の治療についてお話し、一旦心臓病のお話を切り上げることにします。 
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