- 2014-12-21 :
- 犬猫の糖尿病
猫の糖尿病に関する論文から
猫の糖尿病のトピックスをお伝えしましょう。
猫さんに限ってはインスリン注射が不要になることがあるとお伝えしました。しっかり治療したあとのご褒美のように、ある日の検査で低い値が出るとか、インスリン注射するとなんだか調子が悪くなることから、もうインスリンが必要ない、というのが分かります。決してインスリン不要になるのを目指して治療するわけではありません。そのまま不要にならない猫さんたちも大勢います。
さて、この幸運なインスリンが要らなくなった猫さんたち、「糖尿病」ときっぱりお別れができたのでしょうか。
面白い研究があります。こちらです。
Glycemic Status and Predictors of Relapse for Diabetic Cats in Remission.
J Vet Intern Med. 2014 Nov 24. doi: 10.1111/jvim.12509. [Epub ahead of print]
Gottlieb S, Rand JS, Marshall R, Morton J.
この研究の概要をお話します。
糖尿病を過去に患ったことはあるけれど今は普通に生活することができている猫さんたちに、インスリン不要になってから3か月くらいの時点で、いつもの血糖の検査を実施しました。病院でお預かりして24時間絶食にした後、
①空腹時の血糖値
②フルクトサミン値
③猫膵リパーゼ値
をチェックしました。それから、
④ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖を静脈内に注射して何時間したときに正常な血糖値に戻るのかを調べる検査。耐糖能といいます。)
を行いました。
その結果、
①空腹時の血糖値では19%の猫さんが異常値を示しました。
④の耐糖能に至っては76%の猫さんが異常値を示しました。
それからさらに9ヶ月間、この検査に協力してくれた猫さんたちがその後どうなるのか、モニターされました。
すると30%の猫さんはまた糖尿病が再発してしまい、インスリン注射が必要になりました。空腹時血糖値が高かったこと、耐糖能が低かったことと関係がありました。具体的な数値でいうと、空腹時血糖値は135mg/dl以上、耐糖能は血糖値117mg/dlに戻るのに5時間以上かかることが再発と深い関連がありました。
というわけで、
一度糖尿病になったことのある猫さんでは、インスリンが不要になった後も耐糖能に異常がみられるようです。治ったから大丈夫、ということで不摂生な生活を送っているとまた糖尿病にもどってしまうようです。養生をおねがいします。