インターベリーα

先週から歯科ケアについてお話を続けてきました。

これまでのお話のまとめです。

どうして歯科ケアが大切なのか。それは歯周病を予防するためです。歯周病になると疼痛のために食事がうまくとれなくなってしまうし、歯が植わっている顎の骨を溶かし骨折してしまうこともあるし、歯周病菌は身体のあちこちをめぐり肝臓や心臓など関係の無い臓器にも害を与えます。お口が臭い、というのは家族にとってのQOLが低いので口臭を理由にスケーリングを希望されることは多いですが、歯科スケーリングは歯周病の治療です。動物の健康のために必要な処置です。

IMGP6201.jpg 

かれこれ数回にわたって歯科ケアについてお話してきて、何をこれ以上お話しすることがあるのか、というところですが、今日は犬の歯周病に効果がある新薬についてお話しようと思っています。

 

 IMG_20130430_233005.jpg




<インターベリーα>

で、ご紹介するのは「インターベリーα」というお薬です。名称ですが「インター」は「インターフェロン」から、また「ベリー」は「ストロベリー」から来ています。遺伝子組み換え技術によって、イヌインターフェロンを苺に作らせたのだそうです。製薬工場ではなく、植物工場でつくられた医薬品、というのが面白いところですね。

歯周に塗布する外用薬です。といっても薄いピンク色の粉薬はイチゴの粉末ですから、甘いイチゴのお味の薬、愛犬も嫌がらずに受け入れてくれます。外用薬ですが、口腔内に塗るわけですから、この後、愛犬は舐め舐めして飲み混んで大丈夫なお薬です。

このインターフェロンを歯肉に塗りこむと、口腔内にある免疫担当細胞が活性化し免疫機能が高まります。その結果抗菌物質が誘導され、歯周病の起因菌が減少し、歯肉炎が軽減される仕組みです。また、インターフェロンは口腔内の神経細胞にも働きかけ、神経経路を経て、全身の免疫のバランスが改善されるというものです。

用法は週に2回、少量の水で練った粉末を指先につけて、上下左右の歯肉にマッサージするように塗りこみます。5週間(合計10回)連続して行います。この効果は約1年程度持続するということです。
IMGP6196.jpg
こんな感じにね

 

<適応となる犬>

これは良さそう。さっそくうちの犬にも試してみたい。と思われるかもしれません。

残念なことに、この薬の対応になっているのは、生後6カ月から12カ月齢で、歯肉炎指数が1以下の犬です。
歯肉炎指数(GIスコア)は歯と歯肉の境目(歯肉縁)の炎症レベルを数値化したもので次のようになっています。

 

スコア0 :歯肉縁に炎症が認められない。

スコア0.5:歯肉縁に軽度の炎症が認められる。

スコア1 :歯肉縁にはっきりとした炎症が認められる。

スコア2 :歯肉縁にはっきりとした炎症が認められ、かつプローブ等で押すと出血が認められる。

スコア3 :歯肉縁にはっきりとした炎症が認められ、かつ自然出血が認められる。

 

こうしてみると、今歯周病に困っている高齢の犬では利用できないということになってしまいました。案外適応が狭いのでがっかりです。

ただ、これ以外の犬への使用も獣医師の指示で可能です。

 現在、スコア2以上で高齢の犬、つまり一番使ってみたいと思われる犬を対象に試験使用を行っています。適応外になっているスコア2以上で高齢の犬に使用した場合、効果は得られないのかどうか、後日結果をお伝えしようと思います。

IMGP6193.jpg 


<歯みがきと比べてどうでしょう?>

さて、もうひとつ、若齢ですでに軽く歯肉炎が始まっている犬の場合、歯みがきと比較してどんな利点があるのか、気になるところです。

まず、歯肉炎の予防にはならないので、歯肉炎が始まってから投与開始というのが根本的に歯みがきと違うところです。

ここで、メーカーが表示しているグラフを見てみましょう。
IMGP6206.jpg 
塗布した群(赤いライン)では細菌数が減少しています。
IMGP6208.jpg
同様に歯肉の炎症も軽減しています。
IMGP6207.jpg
ピンク
帯のところが薬を与えた期間です。
薬を中止すると徐々に歯肉炎指数は上昇しますが、
薬を再開するとまた炎症が治まるのが分かります。

 

明らかに歯周病原細菌数は減少していますし、歯肉炎の軽減効果もあります。5週行い、再び歯肉炎指数が上がってきたときに使用すると、またスコアが軽減し歯肉炎の改善がみられているようです。

 

毎日の歯磨きがめんどうで、軽い歯肉炎になってしまった、というような場合、この時点での歯みがき再開で炎症は元に戻る可能性はあります。けれど5週間だけ、週に2日の歯肉ケア日に薬を投与し、次の50週はまたお休みし、というインターバルケアでも歯肉のコントロールができるのであれば、これは重宝かもしれません。毎日ではなく3~4日に1回というのは、ちょうど生ごみ収集の日と同じ曜日を選べば忘れることもないかもしれませんよね。毎日お口を触るからケアが習慣になる、という理論からすると、50週のお休みの間に触れなくなってしまうかもしれない、とするとがっかりですけれど。

決定的ないいところ。歯ブラシは嫌がるけれど指なら大丈夫、という犬にはとても良い方法です。

 

 

今日のお話はここまでです。

使用した結果はまた後日お伝えすることにします。 
スポンサーサイト

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード