猫の特発性膀胱炎の治療2

特発性膀胱炎の治療の続きをお話しします。

 

前回お伝えしたように特発性膀胱炎は次のような多面的なアプローチが必要な病気です。

  膀胱炎の治療

  行動学的な治療

  環境の改善

  栄養学的治療

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それぞれについてお話しします。

<膀胱炎の治療>

薬物的な治療に関しては、それぞれの先生方独特の好みの治療法があるかと思います。

当院では、痛みを鎮め、炎症を抑える目的で非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方しています。

内臓痛をより強く鎮めるために鎮痙剤を使うこともあります。ちくちくするような残尿感を減らしたいからです。

出血が激しい時に止血剤を併用することもあります。

細菌感染が認められるときやカテーテルを使用した場合は抗生物質を使うことがあります。

 

尿路感染にクランベリージュースが良いということから動物用にクランベリーの顆粒が発売されています。こちらをサプリメントとして使われる先生もおられると思います。

また漢方のお薬も使われていると聞いています。

先生によっては初期治療にトランキライザーを使用する場合があるそうです。

 

猫が受け入れやすい剤型、また最小限度の投薬内容で飼い主さんが与えやすいものを選ぶようにしています。猫も飼い主さんもストレスなく投薬できることを考えると多種類の投薬は難しいかもしれません。

 

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<行動学的治療>

ここが重要なところです。

    猫が不適切な場所で排泄したとしても絶対に叱らないでください。

ずいぶん前になりますが、「ここにしてはいけない!」と猫の鼻を排泄した場所にこすりつけて叱るという話を聞いたことがあります。これは犬でも同じですが、恐怖心や嫌悪の気持ちをいだかせるだけで、しつけにも何にもなりません。

 

    常に猫には優しく穏やかに接するようにしてください。

大きな声をたてるのもいけません。小さな子供たちが大人数で押し寄せてくる週末を猫は好んでいません。テレビの音源、花火や雷などの予期しない大きな音、犬の吠え声などからも遠ざけてやってください。雑音は無いに限るのです。

あるデータから、ワントーン高めの声で話しかけるようにするのが良いそうです。

 

    できれば遊びの時間を決めて、毎日それを続けてください。

飼い主さんとの関係は、毎日コンスタントに同じスタンスで、が基本です。お誕生日にお友達が訪ねてきてパーティー!というのは猫には喜ばれないのですね。

さて、不活発であることは特発性膀胱炎の発症因子に挙げられています。一生懸命遊ばせてあげましょう。

いくつかのおもちゃを用意しておいて、数日交代でローテーションしていくと飽きることがないようです。猫によっては特定のおもちゃを好む猫もいます。羽のついた釣竿やふさふさ毛でできたおもちゃはそれぞれが鳥や小動物に似せたものです。軽くてカサカサ音がするものも好みます。紙を丸めたものとかビニール袋を束ねたようなもので代用することもできます。遊んであげることが大切です。もともとは狩猟を楽しんでいた動物ですから、屋内飼育の猫にはハンティングごっこをしかけてやってください。

知育玩具にあたるおもちゃがあります。転がすと中からフードがこぼれてくるような仕組みになっています。捕食行動を再現させることができます。手作りすることもできます。卵ケースに蓋をして一部穴をあけておくおもちゃも、トイレットペーパーの芯を重ね中にドライフードを忍ばせておくおもちゃも簡単に手づくりすることができます。この中に手を伸ばしてフードをたぐり寄せます。捕食本能を刺激するものです。

空き箱や大き目の紙袋をそのままにしておくと猫は自由に箱や袋の中に入り、かくれんぼして遊びます。箱のふたを閉じた状態で箱の外から刺激してやると手を出して捕獲行動の遊びができます。

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ハンドメイドのおもちゃです。中にフードを入れます。
 

    同居猫との関係性をもう一度見直してください。

特発性膀胱炎を発症している猫は同居猫の中でも一番立場の弱い関係になっていることが多いようです。ストレスがあっても攻撃行動をおこしてそれを発散させることができません。猫は社会的な動物です。親友もいるし仲良くない関係の相手もいます。苦手な相手が無言で威圧をかけていることもあります。のび太君とジャイアンが同居しているようなことはないでしょうか。好きな時に自由にトイレに行けるのか、食事をゆったりした気分で食べることができるのか、くつろぎの場所があるのか、それら自由行動のエリアを再確認するだけでなく、その場所へ行くのに複数の通り道があるかどうかも検討してください。アクセスルートにジャイアンが寝そべっていると気の弱いのび太君はそこを通りづらいのです。ジャイアンにあたる猫に鈴のついた首輪をつけるのも有効です。音が近づいてきたときにのび太君は逃げることができるからです。のび太君に鈴をつけていることはないでしょうか。いじめっ子はカモが来たことを察知することができるので逆効果です。

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    どうにも安心して暮らすことができないという場合、フェロモン療法も有効であることがわかっています。

GunGunn-Moore先生が特発性膀胱炎にかかった猫にフェロモン療法を使用したときの研究では、膀胱炎の臨床徴候をあらわす日数、症状を出す回数、好ましくない行動が減ったという結果が出ています。

フェリウェイはコンセントに設置するタイプのものをおすすめしています。

 

    サプリメントとしてはミルクから作られたαカソゼピン(αーcasozepine)も効果があります。

ラットやヒト、ポニーでも不安が減少したという研究結果が出ています。猫ではBeata先生の研究で、カソゼピンは猫の対人恐怖を低減し人との接触を増加させたという結果が出ています。

 

    向精神薬を使用することもあります。不安を除く目的で使います。

幸せな気分にさせてくれる脳内物質セロトニンを増やすタイプのお薬です。

明らかなマーキングについては薬物療法も有効です。

ただし長期使用しないと効果が得られません。

 

※ストレスの多い猫に対してむやみに薬を処方すると、薬をのまされるというストレスを増やす結果にさせてしまうのではないか、という心配が生まれます。ここで紹介している⑥⑦に相当する部分が処方食の中に組み込まれています。

 

長くなりました。今回は膀胱炎の治療、行動学的治療の二つをお話ししました。次回は環境改善についてお話しします。栄養学的治療のお話はその次に回します。

    
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