猫の甲状腺機能亢進症・3

猫の甲状腺機能亢進症のお話の続きです。

今日は確定診断に至る検査についてお話しします。

 

 <こんな検査をします>

①血液検査

まずは他疾患と同じように血球の検査や血液生化学検査を行います。

甲状腺機能亢進症では様々な血液学的、血液生化学的な変化が起こります。

甲状腺ホルモンは骨髄を刺激するので赤血球が多くなっていることがあります。

白血球の分類を調べるとストレスパターンと私たちが呼んでいる偏りが見られることがあります。

肝細胞や骨代謝に甲状腺ホルモンが関与することから肝酵素や骨代謝に関係する酵素が高くなっていることがあります。

心臓の拍出量に甲状腺ホルモンが影響を与える結果、高窒素血症が見られることもあります。

骨代謝に影響されて血清リンの値が高くなっていることがあります。

ストレスや甲状腺ホルモンからくるインスリン抵抗性が高まった結果から高血糖になっていることもあります。

 IMGP6759.jpg

前回お話ししたように、甲状腺機能亢進症では併発症として高血圧や心臓疾患があります。そこで、

②血圧測定や

③胸部のレントゲン検査、

④心電図検査、

⑤心臓の超音波検査     を行います。

甲状腺ホルモン中毒性の心筋症が発現していないかどうか、またそれによるうっ血性心不全の兆候が出ていないかどうかを確認します。

 

高齢猫で食べているのに痩せてくる、時におう吐や下痢があるという時の鑑別診断として考えられる消化器型リンパ腫や炎症性腸疾患の鑑別のために行う検査もあります。

⑥腹部のレントゲン検査や

⑦腹部の超音波検査を行うこともあります。

 

隠れている腎臓病を見逃さないようにするため、

⑧尿検査も行います。

 IMGP6757.jpg

 

<ホルモン値の検査>

確定診断のために行われるのは血液循環の中の甲状腺ホルモン値の測定です。この検査は外部の検査機関に依頼します。

甲状腺から産生されるホルモンにはT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)がありますが、血漿蛋白に結合したT4と遊離したFT4を測定します。T4(サイロキシン)は甲状腺でしか作られないホルモンです。

とても信頼性の高い検査です。甲状腺機能亢進症の猫の90%以上でT4の上昇が認められます。甲状腺の機能が正常な猫では高くなることはありません。また他の疾患では健康な時よりもT4は低下してしまいます。甲状腺機能亢進症の時、正常範囲内に入ることはありますがそれでも高いほう半分から上の中に入ります。特異度がとても高い検査です。

FT4の検査はT4よりも感度が高い検査です。甲状腺機能亢進症では初期にT4よりもFT4の値が上昇します。まだT4値が正常範囲内にあるときにFT4はすでに異常を察知して高く出る、ということです。

T4FT4はとてもよい相関関係にあります。

 IMGP6762.jpg

 

もうひとつ、甲状腺機能亢進症の診断に役立つホルモンがあります。甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。

FT4が上昇するさらに数年前くらいからTSHが抑制されるといわれています。今はまだ無症状なんだけど、このあと甲状腺機能亢進症の症状が出てくるだろうというのがわかるのです。骨粗しょう症や心臓が不整脈になるのを未然に防ぐことができます。慢性腎臓病が認められたときに、この検査を実施して低ければ甲状腺機能亢進症を併発しているのがわかるということです。

犬用のアッセイを用いて検査をします。

こちらは確定診断のためというよりは早期発見のための検査になると思います。ルーチンの検査項目に入れるといいのかもしれません。

 

 

今日のお話はここまでです。

次回は治療についてお話しします。

 

    
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