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副腎皮質機能低下症

 内分泌疾患のお話が続いていますが、実は同じ時期に内分泌疾患の初診さんが続いたのです。

クッシング症候群のナナちゃん、甲状腺機能亢進症のチャコちゃんのお話を続けてきました。

今日はもうひとりの患者さん、リリーちゃんです。彼女は副腎皮質機能低下症でした。

 

今日は副腎皮質機能低下症についてお話します。

 

 

<リリーちゃん>

リリーちゃんは3歳の女の子。きれいにテディベアカットされている細身体型のトイプードルさんです。

「食べないんです。なんか、ぶるぶる震えるんです。1回もどしてました。ウンチはいいウンチが出てるんだけど、なんかお腹が痛いのかな、おかしいんです。」

って連れてこられました。

触診してもお腹を硬くすることはないし、体温測定しても高くもないし。一般身体検査では問題になるところが見つかりません。何でしょう?膵臓の具合でも悪いのかしら?胆のう炎なんてことがあるかしら?未避妊だから子宮蓄膿症にでもなっちゃったのかな?

血液検査をさせてもらうことにしました。少々の高窒素血症がありました。ですが電解質が異常値です。それもびっくりするくらいの。

あれれ?腎臓関連かしら?

尿検査もさせてもらいました。尿比重が低く、薄いおしっこが出ていることが分かりました。

チチーちゃん、ホルモン関連の検査をさせていただくことにし、同時に点滴治療も始めました。

 IMGP6783.jpg

 

<はじめに>

副腎は腎臓の近くにある小さな臓器です。副腎の機能は皮質機能と髄質機能に分かれています。副腎皮質の機能は生命維持に欠かすことができないもので、ここからは糖質コルチコイド(グルココルチコイド)と鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)、あとは生殖にあまり大きく影響しない性ホルモンが分泌されています。副腎皮質は3層構造でできていますがグルココルチコイドが分泌される層とアルドステロンとも呼ばれるミネラルコルチコイドが分泌される層は違う場所です。

グルココルチコイドの分泌は視床下部(CRH)→下垂体(ACTH)→副腎皮質という経路のホルモン支配により制御を受けています。

アルドステロンの分泌は腎臓内にある傍糸宮体装置(ぼうしきゅうたいそうち)から出るレニンの刺激から始まるレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAA系)によって制御されています。

 

副腎皮質機能低下症は1855年にDr. Thomas  Addisonによって初めて人の病気として報告されました。この病気がアジソン病といわれるのはここから来ています。

「副腎皮質機能低下症=アジソン病」という風に思われていることがあるようですが、副腎皮質機能低下症にはグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの両方が不足するアジソン病のほか、片方の分泌能が残っている別の病態があり、これらは非定型アジソン(グルココルチコイドだけが不足する)、選択的低アルドステロン症(ミネラルコルチコイドだけが不足する)と呼ばれています。また、ほとんどは副腎皮質の障害により発生した原発性ですが、下垂体からのACTH欠乏による二次性や医原性(投与した薬の影響による)に発生する場合もあります。

非定型アジソンの場合はやがてミネラルコルチコイドも欠乏してくるといわれています。

原発性の副腎皮質機能低下症の原因は免疫介在性の破壊です。それで壊される層がどこなのかによって不足してくるホルモンに違いが出てきます。

 IMGP6782.jpg

 

<この病気の傾向>

この病気に罹った犬に共通点があるかどうかを調べたものがあります。

若齢から中年の犬に多く発症していました。80%以上が7歳以下で平均年齢は5歳という報告があります。

メス犬に多い傾向もありました。70%がメス犬だったという報告があります。

日本での好発品種はトイプードル、パピヨンなどです。

 

 

<過去の病歴があります>

ある日突然ぐったりしてショック状態で連れてこられることがほとんどなのですが、たいていは前の日に興奮するなどしたエピソードを持っています。嬉しくてはしゃいだ、ということのほかストレスのかかる事件があったなども入ります。

よくよく伺っていくうちに、これまでの間に調子が悪くなったり、また良くなったりということを繰り返してきていたことが分かります。そうこうしながら、悪くなったときのレベルがひどくなってきているようです。

この病気を発症する犬たちに共通しているのは太っていないこと。

痩せてスマートな犬たちです。

 

過去に調子が悪くなったときの症状ですが

①食欲がなかった。

②嘔吐してた。

③下痢をした。

④なんとなく力がなかった。元気がなかった。

⑤お腹を痛そうにしてた。

⑥ぶるぶる震えていた。

⑦ぐったりしていた。    などです。

 

IMGP6786.jpg 

<来院時にはこんな症状がみられます>

①おとなしい。とても静か。不安そう。

ぐったりしている時もあります。

②筋力がなくなっています。

ふるえがあるときがあります。

③脱水しています。

④脈が弱く、またスローです。

⑤下痢。血便になっていることがあります。

⑥お腹を痛そうにしています。

⑦ショック状態になっていることもあります。

低体温のときがあります。



それで、とてもびっくりして、検査と同時に治療の準備も始めていきます。




 今日のお話はここまでです。

次回は診断に向けての検査についてお話していきます。

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