副腎皮質機能低下症・2

犬の副腎皮質機能低下症のおはなしの2回目です。

どのように診断が導かれていくのか、検査について、それから急性期の治療についてお話します。

 

<診断に向けて>

副腎皮質機能低下症は「とんだ食わせ物!」というあだ名の付いている病気です。決め手の無い症状で悪い、良いを繰り返し、診断がつかないまでも対症療法を行うとなんとなく治ってしまうという「身をくらます」術にたけている病気だからです。ぐずぐずしていたのに、なんとなく治ってしまった。だけどまた、あの時と同じような症状が今日も。腸炎?膵炎?心臓循環器系の不具合?疲れやすい肝臓性?心理的なさびしがり屋さん?いろいろと悩ませてくれます。

 

血液検査や腹部のレントゲン検査、尿検査などを行います。

血球の検査では貧血がみられ、白血球のバランスも通常と異なってきます。

血液生化学検査では低血糖や高窒素血症、低コレステロールや低アルブミン血症などが出てきます。

電解質はとても特徴的なパターン、低ナトリウム、高カリウムを示します。

血液の電解質異常が飛びぬけて異常値が出た場合は副腎皮質機能低下症を疑い、次の検査に進みます。

電解質異常が認められない非定型アジソンの場合は、それまでの病歴や臨床症状から疑いをもつことになります。

IMGP6781.jpg 

 

ACTH刺激試験>

クッシング症候群のときにも行う検査です。この検査が確定診断につながります。

正常な状態ならばACTHの注射をするとコルチゾールの分泌が増えます。

副腎皮質機能低下症の場合は、ACTHの注射をする前も後も、コルチゾールの値が検出できるかどうかくらい低い値です。なにせコルチゾールを分泌する場所が壊れているのですからACTHに刺激されようがされまいが、このホルモンが作られようがありません。

同時にアルドステロンも検査にかけますが、こちらも注射前、後ともに低い値で出てきます。

 

残念なことに、外部の検査機関に委託して行う検査のため、すぐに結果が出るわけではありません。治療の進行に伴い、もしや、と思って行った治療がうまく反応しているから、きっとそうだろうなぁ、と思っている頃に結果が返ってきて、「あぁ、やっぱりそうだった。」となるわけです。

 

 

副腎皮質機能低下症を疑う犬がショック状態で来院した時はびっくりして、えっさか、わんさか検査や治療を進めていきます。とても落ち着いた雰囲気ではないことが多いです。それはこの「アジソンクリーゼ」(hypoadrenal crisis)と私たちが呼んでいるショック状態が死に直面しているからです

 IMGP6812.jpg

 

<急性期の治療>

そんなショック状態で来院されたときは集中的な治療が必要です。

治療は

①輸液で脱水を改善すること。

②循環血液量を増やしてショック状態から脱却させること。

③電解質や酸塩基平衡を正しいバランスにもどすこと。

④欠乏状態にあるホルモンを補充すること。

を目的に行います。

 

①②③の目的を達成させるのは点滴です。

 高くなっているKを含まず、Naを含む輸液剤を選びます。

 常に低Naの状態が続いている身体に、高い濃度のNaを含んだ輸液剤を急激に入れると脳に障害をおこしてしまう危険があるのでいくつかの輸液剤を混合して調整することが多いです。

 低血糖がひどい時にはブドウ糖を入れます。

 アシドーシスの状態が進んでいる時には身体をアルカリ性に傾ける作用のある薬を入れます。

④のためにグルココルチコイドを注入します。

 合成副腎皮質ホルモンの中で、静脈内に注入できるものがあります。これを使います。

 ACTH刺激試験の途中にある場合はデキサメサゾンを、検査後はヒドロコルチゾンを使います。

検査の値に影響されないようにするためです。

そしてあとは尿量などをモニターしながら反応を待ちます。

IMGP6813.jpg 

こんな状況なので、「お命、お預かりします」ということで入院治療になります。ほんとうに、ここの状態をクリアーしないと次がありません。ひたすら、「がんばって!治療に反応してよ!」と祈りながら治療をすすめています。

 

ここまでひどいショック様でない場合でも循環血液量が少なく脱水気味で高窒素血症を示しているようなときはアジソンクリーゼを予防する目的で同様の治療を行います。自力で水を飲み食事を食べられるのかどうかにより内服治療で済むのか、点滴治療を進めなければいけないのかが決まります。

 

 

今日のお話はここまでです。

次回は急性期を乗り越え、安定してからどのような治療を行うのかについてお話します。

 

    
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