熱射病の対処方法

 熱中症についてのおはなし。2回目です。

前回は熱中症の発生するメカニズムや重症になるとどのようなことが起こるのか、ということをお話ししました。とても危険なことだというのをご理解いただけると、予防の意義が分かっていただけるのではないかと、ハードなところまでお話ししました。

今回は、急に悪化していく熱射病の場合、危険を示すサインはどのようなものなのかと、行動を起こすべきタイミング、そしてお家での緊急の対処法についてお話しします。

 

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<どんな状況になったら行動すべきなのか>

パンティング呼吸は危険のファーストサインです。救急事態になる可能性を示しています。こんな呼吸は暑いときはいつでもしているし、べつに、大丈夫なんじゃないかな、という甘い考えだと危険回避はできません。

ハイリスクな犬にリストアップされていたらこの時点で行動を起こすべきです。

そしてこのようなとき、身体を触ると皮膚が熱くなっていることも分かると思います。毛の無い部分、腹部や太ももの内側、わきの下などを触ってみてください。

 

 

<家でできること>

意識があり、嘔吐や下痢などの症状を出していない場合はまず屋内の涼しい部屋に入れて冷却します。一部屋を閉め切り、冷房は最強にします。扇風機も併用し、風を犬に向けます。軽ければこの処置だけで改善します。

冷たい水を犬の身体にかけて冷却するように指示が出ているのを見かけますが、素人が行うには難しい方法ですし、濡れた状態で搬送することになっても大変なので、冷水浴による体温冷却処置はおすすめではありません。

もし、歩くのにふらつきがあったり、だらけていたり、立ちあがることができない、けいれんがみられる、涎が垂れている、嘔吐や下痢をしているなどがあれば重症の印です。猶予はありません。すぐに病院へ搬送しましょう。

 

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<病院へ出かける前の準備>

10分から15分程度様子を見て、変化がないときは動物病院に電話連絡します。現在の状況を知らせておくと、病院に到着すると同時に適切な処置を始めてもらえます。

車のエンジンをかけ、車内を冷やしておきます。

バスタオルを冷たい水で濡らし、犬の身体の上に乗せ、さらにその上から保冷剤などをあてがって病院へ搬送します。

 

 

<病院で行うこと>

身体検査ののち、血液や尿などの資料を採取し、検査に回します。

その間、すぐに冷却処置に入ります。体温をモニターしながら行いますが、冷水浴の場合、目指すポイント値になったら冷却から引き上げ、ドライ方式に変更します。

検査の結果から、輸液剤を選択し、補液を行います。電解質や糖などを補正します。

脳圧の亢進やけいれん、不整脈などの合併症があればそちらの処置も行っていきます。

 

 

<予後と転帰について>

症状の重篤度や合併症の有無、治療に対する反応などにより、順調に回復する場合もありますが、そのまま死亡してしまうこともあります。

 

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<注意していただきたいこと>

単純にハァハァの呼吸があったくらいで最終段階を予想することは誰にもわからないだろうと思います。しかし、目に見えないレベルでも体調が下り坂であったり、年齢を重ねたことで予備能力が落ちていたりして、「昨年まではこの暑さでも屋外で平気だったのに、今年は耐えられない」ということが起こってきます。また、「まだこの程度の暑さなのに」と思われることもあるかと思いますが、熱中症の発生ピークは暑くなり始めた初夏と涼しくなり始めた秋口に二峰性に高くなるグラフを描いています。真夏の暑い時期よりも、季節が変わっていく途中でからだが暑さに慣れていない時は危険なのです。油断せずに異常がみられたら早めに病院に連れてこられるのが良いかと思います。

 

 

<猛暑時に犬の体温を下げる方法>

「暑い時間帯に散歩に行かないように」など、熱中症予防に対する注意事項はすでに浸透していることと思います。そこで、少しでも涼しくなる工夫はどのようなことかについて屋内飼育、屋外飼育でひとつずつ。

屋内飼育であれば、節電を考えず空調設備を有効に活用することです。その際、扇風機も併用すると効果が高まります。「冷却マットを敷いているから大丈夫ですよね。電気代もかさむことだし、エアコンは家族が帰宅する夕方から夜の間だけ使います。」とおっしゃる方がおられます。でも一番温度が高くなるのは昼間、犬がひとりでお留守番している時です。冷却マットの能力は過信しすぎないようにしてください。

屋外であれば、日陰に移動できるようにしていただくのは当然ですが、ミスト噴霧装置を設置していただくと環境温度の低下になります。家庭用のものをDIYでこしらえてもらえるとありがたいです。ホースで水をまくとか、プールで水浴びをさせるというのは、そのあと濡れた体を乾かすのが大変だと思います。

いつでも自由に新鮮な冷たい水が飲めるようになっていることは言うまでもありません。

 

 

熱射病について2回にわたりお話ししました。

次回は「熱中症」のことについてお話します。「熱射病」も「熱中症」のひとつのかたちではありますが、とくに体温上昇による障害のイメージが強いと思います。熱中症は体液の不足がもたらす障害でもあります。次回は水を中心に熱中症をお話します。

 

 

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