肝臓の結節性過形成

肝臓のお話。4回目。

「肝結節性過形成」Hepatic Nodular HyperplasiaHNH)です。

今日の肝臓の病気は腫瘍と間違えそうなんだけど、腫瘍じゃない肝臓の病気です。

超音波検査で、均質に映し出されるはずの肝臓の組織に、大きさのまばらな水玉模様のように密度の違う部分がみられる時、腫瘍をはじめとした新生物を疑います。しかし肝臓でみられるこのような病変は悪性の腫瘍であることよりも、良性の結節である方が数多くみられます。今日はその、結節性過形成についてお話しします。

肝臓にできる良性の結節(Hepatic Benign Noduls)には、肝臓の良性の腺腫(Hepatic Adenoma)、結節性再生(Nodular Regeneration)と結節性過形成(Nodular Hyperplasiaがあります。腫瘍に比べると遭遇する頻度はこちらの方が圧倒的に高いです。

けれど良性の結節なのか、悪性の腫瘍(Malignant Neoplasia)なのかは病理学的検査の前には区別がつきませんから、一概に楽観するのもいけません。

 *注)さらに調べたいな、と思われた方の手掛かりになるように病名だけ英語表記しています。

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<どんな病気?>

高齢の犬で、超音波検査を通して偶然に発見されます。肝臓内にひとつ、または複数で通常の肝臓とは違う部分が塊状になっているのが見つかります。腫瘍のように見えます。驚いて病理学的な検査をすると、「悪いものではなかった、よかったね」という結果になります。そんな病気です。

8歳を超えた犬で、わりとよく見つかります。14歳までにはほぼすべての犬に発生がみられる、という先生もいらっしゃいます。

球形から卵型の腫瘤が肝臓の全域に不規則にできています。

このような異変が肝臓内にあっても、大きな問題はありません。

 

 <特有の症状が出る?>

特に症状はありません。まれに水をたくさん飲む、おしっこがたくさん出るという症状がみられることがあります。

 

 <検査で異常値が出る?>

身体検査の所見は正常です。

血液検査をすると、アラニンアミノトランスフェラーゼ値(ALTGPTと同じです)やアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値(ASTGOTと同じです)の割に、アルカリフォスファターゼ(ALP)値が高くなっていることが多いです。あとは特別な上昇は見られません。

 IMGP7692.jpg

 <病理学的検査>

針で肝臓の病変部を刺して細胞を診る検査よりは、大がかりになりますが、全身麻酔をかけ手術で、異常な部分の一部を(小さなひと塊として)切除し病理検査を行った方が正確な結果が得られます。

 <治療は?>

結果が良性のものなので、緊急的な集中治療の必要はありません。定期的に血液検査や超音波検査を行ってフォローアップしていきましょう。だいたい半年ごとでいいかな、と思います。

 <経過は?>

予後は良好です。

 IMGP7694.jpg

 

<病理検査を受けなければいけない?>

肝臓にできる腫瘍と区別するために、受けていただく方が安心です。

肝臓にできる腫瘍は、肝細胞癌、胆管細胞癌、カルチノイド、血管肉腫などがあります。頻度はどれも非常にまれですが、「うちの子に限ってそんなまれな病気にはならないわ!」とは言えません。

また、肝臓は肺と並んで、悪性腫瘍が転移するのが多い場所です。リンパ腫などの腫瘍が他部位にできていないのかを確認する必要があります。この場合、肝臓ではなく、大きくなっているリンパ組織などから細胞を採取します。

IMGP7711.jpg 

 <手術が必要なの?>

結節性過形成では手術の必要はありません。

もし、病理検査で原発性の肝腫瘍(肝細胞癌など)が疑われる結果になったときは、1か所だけで取りきれる場所にあるものなのか、数か所あってそれがまばらになっているのか、その大きさはどうなのかなどを複合的に見たうえで、愛犬にとってより良い方法を考えていきます。ご家族の考えなども反映されるよう、話し合いがなされるのがよい方法です。 
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