世界狂犬病デー

9月28日は世界狂犬病デーです。「世界狂犬病デー(World Rabies Day)」は、今なお、世界中で猛威をふるい続ける狂犬病の撲滅を、地球規模で呼びかけることを目的に、世界保健機構(WHO)と国際獣疫事務局(OIE)、EUの合同会議で2007年に定められました。
今日は狂犬病についてお話しします。

<世界狂犬病デーについて>
世界における狂犬病対策を目的とした地球規模の団体があります。「Alliance for Rabies Control」は2006年に欧米の研究者や専門化を中心に結成されました。彼らの活動の一環として定められたのが始まりです。世界中に向けて、彼らの活動に参加するよう呼びかけられました。
「世界狂犬病デー」の目的は、人や動物における狂犬病がいかに簡単に発症を防ぐことができ、また、どのようにすれば撲滅できる病気であるのかを知って貰うことです。

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<あらためて狂犬病のこと>
人と動物に共通する感染症として、狂犬病は何を置いても知っておいてもらわなければいけない病気です。「もう
50年以上も日本では発生がないのだから心配は要らない」というような間違った考えも巷には流れていますが、それをそのまま鵜呑みにしていてはいけません。
今年7月にはマレーシアで狂犬病に感染した子どもが死亡しています。マレーシアでも20年ぶりのことだそうです。

 
<狂犬病の感染>
神経細胞に親和性の高いこのウィルスは、感染すると末梢神経から徐々に上行性に中枢神経(脳)を冒していきます。最終的には脳の神経麻痺を起こし、呼吸の麻痺から死亡します。発症したら助からないたいへん怖い病気です。

<狂犬病の発生がない国>
ラブドウィルスとかリッサウィルスというのは、この狂犬病ウィルスの所属するグループ名です。同じ仲間のウィルスが起こす感染症に「リッサウィルス感染症」というのもあります。狂犬病と同じようにコウモリが媒介して広がる感染症です。
世界の国々で狂犬病の発生がない国はわずかで、その清浄地域といわれている台湾でも、つい数年前(
2013年)にイタチアナグマから発生しましたし、清浄国として有名なオーストラリアやイギリスでもリッサウィルス感染症の発生は起こっています。

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<日本は清浄国>
日本における状況ですが、1950年に狂犬病予防法ができてから人も犬も発生件数は減少し、1970年に1例、2006年に2例の発症はありますが、いずれも輸入事例、海外からの持ち込み発症で、国内での発生はありません。

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<国内の予防注射接種率>
国内の狂犬病予防注射の接種率は、登録件数からみると
70%強ありますが、飼育頭数から推定すると40%にも届きません。ワクチンの有効性は80~90%と言われていますので、報告書の上から推察すると、現状では国内の発症がおこったらすぐに蔓延する危険が高い、という評価になります。

<感染してからワクチンを打つ>
治療として、「暴露後ワクチンが有効」であることが知られています。犬に噛まれてもすぐだったらワクチンを打てば助かることがある、というものです。何故、感染してしまってからワクチンを接種するのか、そしてどうして抗血清ではなくてワクチンなのか、疑問に感じていました。

動物に咬まれる部位ですが、たいていは手や足など、脳から遠い部分です。この咬まれた部分(末梢)から
1日に2cmの速さで中枢神経に向けて感染性ウィルスが上っていくそうです。それで、脳に達する前にワクチン接種をすることで一命を取り留めることができるのだそうです。

1日に2cmのスピードなら意外に遅いから、噛まれても間に合うのでしょうか。それでちょっと考えてみました。マレーシアで亡くなった小さい子どもは4歳と6歳です。中型犬の口の高さになる場所というと、子どもでは腕の上の方から肩口になるかもしれません。その上腕部あたりを噛まれたと想定すると、噛傷の翌日にワクチン接種ができたとしてもすでに脳に近いため、命は危ういことになります。しかし成人でも倒されて頚部を咬まれていれば同じことでしょう。いくら暴露後に治療が可能なワクチンを接種できたとしても、やはり恐ろしいことに変わりはありません。う~ん。救急治療はどのようなことをするのかはドクターにお任せすることにして、大事なのは感染しないようにすることです。

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<身を守る>
今のところ日本では発生はありません。ですから感染の機会が発生するとしたら、海外旅行に出かけたときに問題はおこることになるでしょう。
海外にあっては、むやみに犬に手を出さないよう、特に犬好きのお子さんにはしっかり伝えてください。日頃から知らない犬との接触についての教育が必要です。

<犬には予防接種が大切です>
国内で犬を飼育される場合、「うちの犬を病気から守る」という観点は捨て、「悪性伝染病の広範な感染拡大を予防する」という集団防御の観点から予防注射が必要であると認識ください。またお友達にもそういうわけなのよ、って伝えていただくと、この考えが広まると思います。

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10月はじめには、春期の狂犬病予防接種が済んでいない犬に向けて、いわゆる「督促状」が届くことと思います。もしまだ今年度の予防注射がお済みでない場合、秋は集合注射はありませんので動物病院にお越しください。

狂犬病予防注射に関してはいろいろなことがネットで言われています。何が本当なのか混乱されている飼い主さんも大勢いらっしゃるでしょう。
小動物獣医科病院の繁盛なんていう小さな問題はどうでも良いです。犬に対する狂犬病予防注射は「うちのわんこを狂犬病から守る」というところから始まり、「小さな積み重ねが世界の狂犬病の発生を防ぐ」に繋がっています。
「こうすることで狂犬病の撲滅に向けた世界規模の運動に参加しているのだ」という意識をみなさんに持っていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

 

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