頑張った猫ちゃん、シロちゃん

 今日は頑張った猫、シロちゃんのご紹介です。

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今のシロちゃん。
やっぱり病院に来ると緊張しちゃうみたい。
お目目がまん丸になりました。



シロちゃんは、名前の通り白い毛の猫さんです。地域猫として、Oさんの仕事場近くに住んでいました。

「いつも顔を出す猫ちゃんの足がなくなってるの!でもね、捕まえようとしたんだけど、3本足で走ってね、いなくなっちゃったのよぉ。」

Oさんが自宅で飼育している猫さんの診察にいらしたとき、心配してシロさん情報を伝えてくれました。Oさんの仕事場近くには線路があり、電車にひかれちゃったのではないかということでした。どの程度の傷なのか、気になります。ほんと、どこかで死んじゃってるのでしょうか。心配です。

それにしても猫ちゃんは気丈なものです。その傷ついた足を抱えながら、3本足で歩いているのですから。

 

その翌々日の昼休憩、Oさんが飛び込んできてくれました。

「センセー!捕まったわぁ~!」

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術後のシロちゃんです。
しっぽ短くなっています。
だらり~ん、つらそうです。





さてさて、猫さん(そのときはまだ名前が付いていませんでした)、ちょっと興奮気味でしたが、全身のチェック、そして血液検査などおとなしく(というほどでもないですが、派手な抵抗もなく)させてくれました。

右の後ろ足は膝から下がなくなっています。傷は化膿して、異臭を出していました。頼みの綱の左後ろ足ですが、指がいくつかありませんでした。これだけでも重症なのに、この左足を着けて歩いていたなんて、えらかったわね。それから尻尾の先っぽも痛めていて、ここも切除しないとだめそうでした。血液検査の結果から貧血があることは分かりましたが、手術をしないわけにはいきません。すぐに点滴ができるように静脈内に針を通し、抗菌薬の点滴を行いながら全身麻酔がかけられました。時刻は3時を回り、午後の診察時間になってしまいましたが、緊急ですもの、ごめんなさい。外来診察もお預かりや、お待ちいただくようなかたちで、猫さんの手術が始められました。(この日診察にいらしてお時間をくださった患者さん、ありがとうございました。)

 

手術は3か所です。まずは一番ひどいところ、失って化膿している右の後ろ足の汚い部分を取り除いて、きれいな部分でとどめ、先を皮膚でくるむ断脚の手術です。骨の先を筋肉でくるみ、さらに皮膚がはじけないようにゆとりを持って縫い合わせます。それから、左の後ろ足ですが、なんとか残った指とパットを無理のないようにつなぎ合わせる形成手術です。縫い合わせの仕方によっては、この足を着地して歩くため皮膚がずる剝けになってしまいます。着地する部分がけずれてしまわないように、また突っ張って傷がはじけてしまわないように注意深く縫い合わせました。それから尻尾の手術です。気になる尻尾が長すぎると残った尻尾の痛みを感じ、先々猫が噛んでしまうので、やや短めに整形しました。麻酔から2時間。猫さんの手術は無事終了しました。

外科チームはあとを祈るのみになりました。

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右後ろあしは切除してなくなっています。
痛々しいです。
投げ出された左後ろ足もほそーくなっています。




そこからバトンタッチされたのが、術後管理を担当するチームです。

元々が屋外で暮らしているので、栄養状態も優れているわけでもなく、軽度の貧血も手術により喪失した血液もあることから、悪化してました。そんなわけでなかなか思うように状態が良くなっていきません。舐める程度には食餌もしてくれましたが、ウンチの状態もゆるゆる。下痢便です。検便すると「マンソン裂頭条虫」や「つぼ型吸虫」などの、へびやかえるを中間宿主にするおなかの寄生虫がいることも分かりました。点滴したり、駆虫薬を与えたり、傷の消毒をしたり。健康な猫さんなら、悪いところを取ってしまうとぐんぐん良くなっていくのに、隣室の猫舎が入れ替わり立ち替わりニューフェイスに変わっていくのに、シロちゃん(この頃にはすでに、呼び名はシロちゃんになっていました)の部屋だけ、新陳代謝なし。点滴もアミノ酸を入れたものやちょっとハイカロリーなものにしても、ぐぐぐーっと良くなる気配が見いだせませんでした。かろうじて体重はキープ。だけど、ここでガツンと力が欲しいですっ!

 

「ハートさんちの夢子ちゃん」はいつも誰かの命を救う救世主。みんなのエンジェルなのですが、今回も夢ちゃんが血液を分けてくれました。いつも感じることですが、輸血のための血液をドナーから採血するのは心が痛みます。こんなことするために生まれてきたんじゃない。だけど動物病院に飼われているからという理由で、何度となく血液を供給してくれています。私たちは善意で自分の血液を献血するし、自己血輸血のために術前に採血することもあるでしょうが、すべて自分の意思です。でも、猫も犬も、そんなことはありません。

「ごめんね、夢ちゃん」。

 

そんな悲しみを抜け、夢ちゃんから赤血球の命をもらうと、シロちゃんはめきめきと良くなってくれました。そして、お外猫の意地を見せつけてくれます。

「しゃー!」

おいおい、それはないだろぉ~(泣)

こうして、そのあと体重も増え、鉄剤の効果も出て貧血も改善され、シロちゃんの体重は一番少なかったときの2割増し。すっかり傷も癒え、Oさんに連絡できる日が来ました。


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今のシロちゃん。
しっぽの毛がなかなか伸びてきません。
なんだか目立っちゃうなぁ。
指2本がなくなった左後ろ足は
機能異常をほとんど感じさせません。


Oさん、その後仕事場から自宅に連れて行ってくださり、今は先住猫さん(おっとりしたやさしい猫ちゃんなのです)も受け入れてくれ、シロちゃんは立派な飼育猫さんになっています。

ほんと、シロちゃん、よく頑張ってくれました。

そして保護してくださったOさんにも感謝です。

 

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ご支援ありがとうございます。

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袋物のほか、アクセサリーなどの小物もあります。
手作り上手な患者さんのご協力です。

おわりに

今回の手術と入院の費用は、病院とOさん、そして皆さんからいただいた「のらねこさんのためのご協力金」を一部利用させていただきました。ありがとうございます。今後も身寄りのない猫さんの救助に使わせていただきます。これからもご協力願えると助かります。

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テーマ : 動物病院
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