犬の白内障・1

 犬の白内障と白内障手術

<白内障というのは>

目の中にはピントを合わせるための透明なレンズがあります。水晶体です。白内障では水晶体の中が不透明になっています。濁りがわずかな段階では視力を妨げることはありません(初発白内障)。濁りがより強くまたは範囲が広くなってくると視力をぼかす原因になります(未熟白内障)。最終的には水晶体全体が曇り、視力が失われることになります(成熟白内障)。成熟白内障の一部は、時間の経過と共に過熟白内障に進行します。過熱白内障では、水晶体から水とタンパク質が失われ、そのためにレンズのサイズが縮小してしまいます。こうして水晶体の袋はしわしわになります。ちょうどブドウがレーズンになるような感じです。過熱白内障はどれほど曇っているかによって眼の様子が異なります。完全に曇っている場合もあるし、残りの部分がまだ濁っていない場合もあり、その場合はある程度の視力が保たれています。犬の年齢や品種によって、成熟白内障が過熱白内障になるまでに数年かかる場合もあれば、数ヶ月で進行してしまうこともあります。

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今月の掲示板は目を中心にしています。
 

<白内障ではないもの>

核硬化症

犬は年齢を重ねるにつれて、瞳の中に灰色がかった青色のかすみが増えてきます。すべての高齢犬は水晶体を硬化させて、水晶体を灰色がかった外観にします(核硬化症)。通常6歳ころから始まりますが、核硬化症は白内障ではなく、通常は視力に影響しません。

核硬化症は人でも起こります。近くの物を見たり遠くの物を見たりするとき、水晶体を厚くしたり薄くしたりして焦点を合わせるのですが、年齢とともに水晶体が硬化すると、それがうまくいかなくなります。レンズが柔らかくなくなるため、近くの物を視るとき水晶体の形状を簡単に変えることができなくなります。これが老眼鏡が必要になってくる理由です。核硬化症の別名は「老眼」と記憶して貰うとわかりやすいかもしれません。犬は、人に比べて近くの細かいものをしっかり視る必要がないので、核硬化症があっても視力を大きく妨げることはありません。物にぶつかるなどのアクシデントも発生しませんし、ぱっと見ただけでは核硬化症があっても正常な高齢犬の目を示しています。

核硬化症と白内障の違いを知ることができますか?

まずはホームドクターが犬の目を評価することから始まるのですが、獣医眼科専門医ではない獣医師が2つの病態を明確に区別することは困難です。獣医眼科専門医は特殊な装置と専門知識を使って、核硬化症と白内障の違いを知ることができます。また、核硬化症と白内障の両方を発症する可能性があることにも注意してください。多くの高齢犬は白内障を発症します。あなたの老犬が曇った目をしていてもまだよく見えるからといって、白内障ではないということではありません。犬は白内障が小さい場合ならかなりよく見ることができます。一方の目が白内障から盲目になっていて、もう片方がそうでない場合でも、犬はまだ適応することができます。犬はとてもうまく順応してくれるので、いつも一緒にいる飼い主さんは犬が片方の眼が見えていないことに気付きません。両眼が徐々に重度の白内障を発症する場合でも、犬は身近な環境の中で物がどこにあるかという「記憶マップ」を作り出すことができます。それで視力が悪くなった犬は、両眼の視力が重度になるまで問題があることを家族に知らせることがありません。

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犬の白内障について掲示してあります。



<なぜ白内障を発症するの?>

白内障には犬の多くの原因があり、罹患した患者の白内障の原因を特定できないことがあります。

①遺伝性

犬の白内障の大部分は遺伝し、それぞれの年齢で発生する可能性があります。白内障は数週間で急速に発達するか、または何年にもわたってゆっくりと発達して、片方または両方の眼に発生します。品種が違うと、白内障発達の特徴も違うようです。例えばビションフリーゼの白内障は、成人期に早期に急速に発症する傾向があり、通常、両眼に全体の混濁を伴います。

②糖尿病性

イヌの白内障の2番目に多い原因は糖尿病です。白内障は犬が糖尿病になった直後に形成されます。糖尿病の犬の75%は、糖尿病と診断された最初の9ヶ月以内に盲目の白内障を発症すると言われています。「糖尿病性白内障」は非常に早い段階で高頻度に発症し、獣医学的にも外科的にも緊急事態といわれています。

③続発性

犬の白内障の3番目に多い原因は、水晶体内の反応です。水晶体は他のいくつかの眼疾患または、あまり一般的ではありませんが何らかの薬物反応に起因する病気で、これらは「続発性白内障」と呼ばれています。眼の疾患によって引き起こされる白内障は、犬ではかなり一般的です。

1)網膜変性、特に進行性網膜萎縮症(PRA

2)外傷を含むあらゆる原因のブドウ膜炎(眼の中の炎症)

3)緑内障

④水晶体嚢の破裂

特別なタイプの白内障になりますが、外傷によって水晶体嚢が破裂したときにも白内障が発生します。猫の爪の傷のように水晶体嚢が破裂するくらい深く突き刺さった外傷は眼に深刻な打撃を与えることがあります。水晶体の内容物は、水晶体嚢に開いた穴を通して漏出し、白内障や重度の反応性ぶどう膜炎を引き起こします。傷害が発生してから23週間経つ頃までは、ぶどう膜炎の炎症は重症度がピークにはなりません。水晶体嚢が破裂していることは必ずしも明らかになっていません。これが診断されたときには、すでに目を救うには遅すぎるため眼球を摘出する必要があります。(温存しておいた方がより良い視力が得られるのではないかという意見を持つ先生もおられます。)ですから、犬の目にどんな傷害があっても、ぱっと見て大丈夫そうであっても、動物病院で診察を受ける方が賢明です。

水晶体が膨張した場合も水晶体の袋が膨らみ、破れ、水晶体嚢破裂がおこります。糖尿病の場合や急速に形成されるいくつかの種類の遺伝性白内障でもこれが起こります。

⑤栄養性

白内障はまた人工乳飼育された子犬などに、栄養不足のために発生する可能性があります。これらは栄養性白内障と呼ばれ、子犬が成長するにつれて改善することがあります。

⑥加齢

年齢とともに白内障を発症することがあります。多くの場合、8歳以降です。しかし犬の年齢に関連した白内障は通常小さく、視力を著しく妨げることはありません。

⑦そのほか

先天性欠損、感染、放射線(通常、頭部のがんの放射線療法を受けた後)など、犬の白内障にはあまり知られていない多くの原因が関係しています。

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できるだけ写真を多くしてみました。



<白内障の治療法>

白内障を発症すると、そのままでは再び水晶体を透明にする方法は知られていません。また点眼でも水晶体を透明に戻すことはできません。病期でいうと、未成熟、成熟、それから過熟白内障は、外科的に治療することができます。「外科手術であれば、水晶体の濁りをとりのぞき、再び視力を取り戻すことができる」かもしれないということです。


今日のお話はここまでです。次回、もうちょっと詳しい手術のお話しをしていきます。

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