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犬の白内障・2

犬の白内障のお話し、続きです。
2回目の今回は内科的な治療のことについて。 

<白内障の治療法>

白内障を発症すると、そのままでは再び水晶体を透明にする方法は知られていません。また点眼でも水晶体を透明に戻すことはできません。
病期でいうと、未成熟、成熟、それから過熟白内障は、外科的に治療することができます。「外科手術であれば、水晶体の濁りをとりのぞき、再び視力を取り戻すことができる」かもしれません。
ですから白内障の根治手術は外科療法になるのです。

 
<白く濁ったレンズはもとに戻らない>

白内障を元に戻すことはできません。水晶体が曇ってしまえば、それを取り除くための白内障手術が行われない限り、濁りはそのままです。2つだけ例外があります。

1)栄養性白内障は、栄養状況が良くなると時間とともに改善できます。

2)過熟白内障は、経時的に透明な領域が出てくることがあります。

けれど、①はごくまれなケースで老年性の白内障を心配している場合には無関係です。そして②の場合は、過熟白内障のステージで水晶体起因性ぶどう膜炎になったときに生じ、これは網膜剥離、緑内障、水晶体の脱臼を起こす可能性が出てきますから、良くない兆候なのです。

 
<手術を選択しなかったら?>

未成熟~成熟~過熟期の白内障は、手術してあるかどうかに関わらず、目の中の深刻な反応性炎症
(水晶体起因性ぶどう膜炎)を引き起こす可能性があります。水晶体起因性ぶどう膜炎になると、緑内障または網膜剥離などを併発することがあります。また水晶体起因性ぶどう膜炎があると白内障手術をしようと思ったときに手術の成功率を低下させてしまいます。ですから水晶体起因性ぶどう膜炎を発症していないかどうかを確かめること、もし発症してしまった場合はしっかり治療することが大切になってきます。
合併症としてレンズの脱臼や緑内障を発症すると、眼が痛みます。頭痛のかたちで愛犬に痛みが襲ってくることもあります。

ですから、手術を選択しない場合でも、定期的に眼の診察は受けてください。目薬はずっと投与する必要があります。白内障の手術を行うのには最適な時期があります。はじめは手術をしないつもりだったけど、後で手術することに気が変わったわというようなとき、外科手術成功率は時間の経過とともに低下してしまうし、後日になってからはもう手術をすることができなくなったという場合もあります。

白内障手術をしなくても合併症を発症することもなく大丈夫かもしれないし、そうではないかもしれません。このあたりは時間経過しないとわかりません。けれど最終的に水晶体起因性ぶどう膜炎に次ぐ緑内障を発症するか、または非常に痛みを伴うレンズ脱臼を発症するという最悪の事態が起こる可能性は残ります。このような状態を何らかの薬や点眼薬で事前にコントロールすることはできません。発症してからは痛みを抑えるために眼球摘出手術を行うか、または、視力の望みがある場合には、石灰化した水晶体の除去手術をすることになるかもしれません。緑内障の場合は別の手術があります。

白内障で視力を失ってしまっても、たいていの犬は安全で安定した環境にいます。ほぼ、100%屋内飼育で、高齢になっているために静かで動きの少ない日常を過ごしていると思います。目が痛いことがなければ、視力喪失にも適切に対応できます。部屋の中の家具の配置などはもうすっかり頭にインプットされているでしょうから。問題は犬が白内障由来の痛みを持っているのかどうかを正しく判断できるかどうかです。これは意外に難しいと思います。二次的な緑内障を発症していれば頭痛がありますが、進行してこないと犬は明らかな痛み(のそぶり)を見せることはありません。でも緑内障になった時には目が大きくなって、視神経の破壊のために完全な失明になってしまいます。この眼球が大きくなった状態まで進行してしまうと、増加した眼圧を制御するのに点眼薬や内服薬の投与では不十分で、痛みを和らげるため別の手術が必要になります。

結局、「手術が必要になります」しか言ってなくてごめんなさい。愛犬が痛みと折り合いをつけ、飼い主さんが愛犬の顔貌の変化になじんでしまえば、従来の手術をしない選択も有りになるのですけれど。

さて。もう一度、念を圧しておきます。
犬に白内障があるけれども手術を受けようと決断する余裕がない場合はありますよね。それは経済的な意味に限らず、眼にメスを入れるという恐怖からも踏み切れないでしょう。そのようなときでも定期的な診察で眼を評価することは非常に重要です。白内障から生じる合併症を予防するためには罹患した目の診察と治療とが必要です。白内障は水晶体起因性ぶどう膜炎など多くの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。合併症も初期であれば対応ができます。でもどうにもならなくなってからは、やはり手術という選択しか無くなってしまうことがあって、その手術も眼球摘出手術になることもあります。さらに外科による目の喪失ではなくて、自然経過からの目の喪失もあることも知っておいてください。



<やっぱり内科的な治療を希望します>

それでも、外科手術に踏み切ることができないという場合、または早期の段階でまだ手術には及ばないときに治療はできないのかというと、そうではありません。
白内障の発症の重症度を予防または軽減するのに、水晶体へ栄養的なサポートをすることができます。よく「進行を遅らせる」と言っている治療法がそれです。点眼療法です。さらに犬の眼をサポートするために特別に設計されたサプリメントがあります。サプリメントには飲ませるサプリと点眼液として水晶体に栄養を届ける眼のサプリの二つがあります。点眼液のサプリは、点眼薬と間違えられそうですが、効能からするとサプリメントの扱いになるため、「点眼液サプリ」としてご紹介します。はじめに点眼療法を選んだからといって、後に手術をする妨げになるわけではありません。抗酸化剤の補給は、白内障手術後に発生する眼の炎症を軽減するのにも役立ちます。

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進行した白内障で合併症を発症するときがあります。

<白内障関連で処方する薬>

「白内障ですよ」と診断されたときに処方する目薬、サプリメントについてご紹介しておきます。

白内障で外科治療を選択しなかったら無治療のまま経過させてしまうわけではありません。内科治療はおうちでの経過観察、そして定期的な病院診察を行い、何か合併症が発生したのをすぐに見つけられるようにするという面で意味のあることです。たいていは水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)の治療が主な治療になります。白内障の発生から水晶体起因性ぶどう膜炎を発症するまでは平均で17か月で、若いとそれよりも期間が短いようです。

初発白内障だったら、まだ濁りはほんのわずかのはずです。この時期には水晶体に栄養を送り、水晶体内部の化学反応から濁りが始まるのをセーブしていくことができます。この時期から始めるのがポイントです。もっと進んで白さが際立ってきてからでは遅いです。「あらっ!」っと思ったときから始めるのが大切です。「まさかぁ」「まだそんなに白くないし」「目は十分見えてるよ」の段階です。

このときに使われるのが「進行を予防する目薬」で、ピレノキシンやグルタチオンが使われます。

サプリメントも使われます。抗酸化作用のあるものです。犬専用の点眼液、経口サプリがあります。プロアントシアニジン、N-アセチルカルノシンです。

未熟白内障の末期になってくると水晶体起因性ぶどう膜炎を併発することが多く、目が赤く充血し始めます。それでもまだ眼圧は高くないところです。この頃になると、非ステロイドの消炎鎮痛薬(NSAIDs)の点眼液が適応になります。いろいろなものがあります。プラノプロフェンやジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウムなどが代表的な物です。

水晶体起因性ぶどう膜炎が重度になると、非ステロイドのお薬では炎症を抑えられなくなってきます。こうなってくるとステロイド点眼薬が出番です。ステロイド薬は角膜に傷があると傷を悪化させてしまうので、角膜に注意しながら投与します。ジフルプレドナート、デキサメサゾン、ベータメサゾンなどがあります。

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白内障の手術の簡単な説明も掲示しました。




犬の白内障について、内科治療を中心にお話ししました。
次回は、手術についてお話しします。

10月10日は目の愛護デー。あなたの愛犬の素晴らしいビジョンがいつまでも続きますように。もちろんあなたのアイビジョンも。



 

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