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犬の前立腺の病気

 今月はモーベンバー。前立腺がんについて知っていただく月です。犬の前立腺がんはあまり知られていませんが、前立腺に関係する病気は意外と多く見受けられます。ふだん病院に来られるのはご家族のうちお母さんが多いことからも、「前立腺」という名前にはなじみがないのかもしれません。今月は前立腺の病気についてご紹介します。チェックポイントとして症状を上げますが、前立腺の病気でみられる症状は別の病気でも表れる症状です。「これって○○病の症状じゃなかったの?」ということもあるだろうと思います。でも「えっ?もしや!」があればご来院いただき、検査を受けて貰えるといいなと思います。「あぁ、勘違いだったわ。」ならば言うことありませんから。

 

<前立腺のある位置>

前立腺はオスだけにある組織です。膀胱のすぐ後ろのところの尿道にくっついていて、しっかり尿道を取り囲んでいます。そして腺構造の導管(ブロッコリーでいうと、花の部分が前立腺で茎のところが導管になります)が尿道に開口しています。穴は一つではなく複数あります。

前立腺は生まれてすぐのときは腹腔内にありますが、子犬から青年期あたりまでは骨盤腔(骨盤で囲まれた部分、お腹の中の組織ですがかなり尻尾に近い後方です)の中にあります。そして加齢とともに腹腔内にまた戻ってきて、5歳以上のオス犬であれば、ほぼ腹腔内にあります。

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今月の掲示板は前立腺の病気についてです。

 <前立腺のはたらき>

前立腺の役割は、射精するときに精液を輸送すること、そして前立腺液を産生することです。通常は基礎分泌される少量の前立腺液が常に前立腺の導管と前立腺尿道を流れています。雄性ホルモンにより成長し、成熟した犬の重量は性ホルモンにより維持されます。そして加齢とともに前立腺の重量は増します。ビーグル犬の研究になりますが、2.5歳以下では40%で、6歳以上になると80%で、9歳以上になると95%が前立腺の良性の過形成が認められるようになります。

 

<主な前立腺の病気>

前立腺の病気は高齢から老齢のオス犬によくみられます。主だった病気は下に示す4つくらいです。

・前立腺の良性の過形成(一般に前立腺肥大と呼ばれています)

・前立腺の感染(急性の前立腺炎や慢性の前立腺炎)

・傍前立腺のうほう

・前立腺の腫瘍(一般的には前立腺がん)

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よくある前立腺の病気は?
タイトル字の色が濃いのは重篤な病気です。

<前立腺の病気の兆候>

飼い主さんが気づく異常点、チェックポイントを並べます。

・血尿

・尿道からの分泌物がある(ときに赤い、膿のようなことも)

・オシッコが出にくい(ちょろちょろ、ぽたぽた)

・オシッコがくさい

・いきんでウンチを出す

・元気がない、食欲がない、熱っぽい

・局所の痛み(動かない、動きがぎこちないなど)

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前立腺の病気が疑われるときの検査です。

<前立腺の病気を疑ったときの検査>

前立腺の病気の種類によって、治療内容が変わります。そのような意味からも、「前立腺が大きい」というところからいくつかの病気をはっきり区別する(鑑別診断と言います)ことが重要になってきます。主な前立腺の病気を区別するために行われる検査は以下のようなものです。

 ①視診

睾丸に異常はないか、生殖器全体をみます。

②触診

お腹側から前立腺に触れて大きさを確認します。お腹の筋肉が張っていたり、犬の大きさによっては触ることができないこともあります。

③直腸検査

直腸に指を入れて、直腸側から前立腺を触ります。犬の大きさによっては指が前立腺まで届かないこともあります。直腸からは、前立腺の大きさだけでなく固さ、左右対称なのか片方だけが大きいのか、また表面がなめらかなのかごつごつしているのかなども触知することができます。また触れたときに痛みはないかどうかもチェックしています。

④血液検査

感染性の前立腺疾患が考えられるとき、全身へ影響が及んではいないかを見るため、また別の前立腺の病気を疑う場合も、全身のコンディションを知るために血球の検査や生化学的な検査を実施します。

⑤尿検査

一般の尿検査に加え、尿沈渣の検査(顕微鏡の検査)も行います。もし細菌が認められた場合は尿の培養検査を行います。

⑥前立腺液の検査

尿道からの分泌物や、前立腺マッサージによる標本で細胞の検査を行います。感染性、腫瘍性の場合にたいへん有用な検査になります。

X線検査

前立腺の大きさやかたち、また、近隣のリンパ節の様子も観察することができます。膀胱や尿道などの尿路系についても評価することができます。造影剤を使って尿路を描き出す検査を行うこともあります。この検査により、似たような彩度をもった組織がどの組織で、それらがどのような位置関係にあるのか明らかになります。

⑧超音波検査

前立腺の内部構造を知ることができます。前立腺の中に空洞があること、その空洞の広さなどを確かめることができます。

⑨前立腺の吸引

もし空洞を見つけられて、それがお腹の皮膚から針を刺して吸引できそうな位置であれば、針を刺して抜き、細胞の検査を行います。(もし吸引したものが膿であれば、すぐに点滴治療で抗菌薬療法を始めます。)この検査は必ず実施するものではありません。

⑩前立腺の細胞検査

特に腫瘍を強く疑うような場合、鎮静剤または短時間の軽い麻酔の下で、前立腺の組織に針を刺して細胞を採取することがあります。

 

 

今日のお話はここまでです。

次回から個々の病気について少しずつお話ししていきます。

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