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慢性前立腺炎

感染性の前立腺の病気、急性前立腺炎の次は慢性の前立腺炎です。

2.慢性の細菌性前立腺炎

急性の前立腺炎の治療が集中的にできなかったり、犬が我慢強く急性期に炎症があることを飼い主さんに知らせられなかった場合には、炎症は慢性化します。また、尿路感染が慢性化したときに前立腺に炎症が波及し、慢性の膀胱炎とともにじわじわ~っと慢性の前立腺炎になっていることがあります。オス犬の10%くらいは尿路感染症を持っていると言われていますから、膀胱炎などの尿路感染から前立腺炎があるのもごく普通のことです。無症候性膀胱炎といって、細菌感染が有りながらも症状を現さない尿路感染もあるため、分からないままのこともあるかと思います。

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<慢性の前立腺炎は症状が現れる?>

前立腺の炎症があることを全く現さない犬もいます。むしろ大半がこれといった症状が無くて、診断も決定的にできないことが多いです。ただ、こういう犬たちは再発性の膀胱炎だと思われていることの方が多いように思います。なんとなく元気が無いとか、食事が進まない、お散歩に行くのをいやがる、歩きたがらないなどの「訳が分からない!」といった症状を出している犬もいます。

 

<診察してみると・・>

・尿道や包皮から分泌物が出ています。

・前立腺の肥大が認められます。

・直腸を介して前立腺に触ると少し痛みがあるようです。

・触った感じはなめらかな腫れでごつごつしていません。

 

<検査は?>

尿検査や前立腺液の検査、前立腺の画像的な検査を中心に、押さえとして血液検査も行います。

<診断は?>
これといって他の病気が考えられないかな、という感じで診断を進めていきます。

 IMGP0592.jpg

<治療は抗菌薬>

治療の中心は抗菌薬です。中期から長期の投薬期間を必要とします。どの抗菌薬を選択したら最良の効果が得られるのかを考えて選びます。

「血液―前立腺液関門」というのがあります。聞き慣れない言葉だと思いますが、血液と前立腺の組織液とが物質を交換する際にはたらくバリアー機構があります。いわゆる血液の「関所」です。前立腺にとっての有害物質が血中から前立腺の中に入り込めないようにブロックされる仕組みです。急性前立腺炎ではこのバリアシステムが破綻しているため静脈性にすぐに効果が出る抗菌薬を選びますが、慢性前立腺炎ではバリアシステムが破綻していないので、どんな抗菌薬でも効果的な治療効果が期待できるわけではありません。抗菌薬も種類によってはこのバリアシステムにより前立腺の中に入り込めない薬があるのです。抗菌薬のpH、また薬が脂溶性か水溶性か、蛋白結合性はどうかなど考えて、有効に働きそうな抗菌薬を選択しています。同じキノロン系であっても有効な薬とそうでない薬がありますし、人では有効ではないのに犬では有効なものもあるなどします。はじめは目星をつけて治療に入りますが、細菌培養の結果と併せて薬が変更になることがあります。ですから「長く効く注射がいい!」とか「1日に1回だけのシロップならのませられるんだけど」とか「味が付いてるお薬が良いわ」なんて贅沢な希望を叶えてあげられません。

結構長く、たいていは2か月くらいお薬を続けて貰います。効果の判定のためにまず1週間で、それから2週間で、さらに1か月で、というように綿密に再診に来て貰って評価をします。

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<補助療法があります>

この病気でも「去勢手術」をおすすめしています。抗菌薬だけの治療の反応が芳しくないときに行います。去勢手術をしても、まだ反応が良くないときもあります。追加の検査で他の病気が顕わにになっていないようだったら、さらにしばらく抗菌薬を続けることにします。






11月中に前立腺のお話しが終了しきれませんでした。このままもう少し続けます。次回はちょっとこわい「前立腺膿瘍」のお話し、そしてさらにこわい「前立腺の腫瘍」のお話しもいていきます。

山間部から平野部に紅葉と落葉のコラボが降りてきました。冷えは万病の元です。夜は温かくしてお休みください。

   


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